劇場公開日 2024年3月29日

「オッペンハイマーの世界観に没入する」オッペンハイマー 虫さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0オッペンハイマーの世界観に没入する

2024年6月24日
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鑑賞方法:映画館

怖い

知的

難しい

賛否両論のレビューを見て、しばらく観ることを躊躇していたが、逆に自分はどのように感じるのか確かめたくなり映画館へ。結論としてはノンストップでオッペンハイマーの世界観に没入してしまった。180分間に原子爆弾が“存在しない世界”から、“存在する世界”への時代性を追体験。そして博士が取り憑かれたように原子爆弾の完成という目的に突き進む姿と、完成した後に我に返り苦悩する姿に感情移入する。観ているこちらも実験成功した瞬間に全てのピークを迎え、徐々に冷静になっていく。
原子爆弾は無差別に大量殺戮を行う兵器であり、その創造は悪魔の所業に変わりない。しかしながら、研究開発する過程は人知を集結し実現困難な事を成し遂げようとするエネルギーで溢れており、劇中は兵器を作っているという引け目を感じさせない。新しいものを創造しようとする組織と、それを利用し実行しようとする組織の合理性を極限まで追求する事への危険性を感じた。過激な表現ではあったが、オッペンハイマーの私的な経験と他者との関わりは彼の人間性を理解する上で役立った。

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虫