「劇場で複雑な感情を無言で共有する感覚」オッペンハイマー ひでぼーさんの映画レビュー(感想・評価)
劇場で複雑な感情を無言で共有する感覚
よくある自伝ものは小さい頃から死ぬまでで3時間で飽きてしまって、ちょっと自分は苦手なのだけれども、この作品はわりと短期間を描いたもので、集中してみることができた。というより、集中しないとついていけなかった。
もともと話が難しめなうえに、登場人物が多くて馴染みがないうえで、ノーランらしい時系列の存在がはいり、よりわかりにくくなっていた。
頭をフル回転して、作品を受け止めようと全力になれたのも、IMAXで途中で挟まれるVFXと轟音のおかげが大きかった。
苦悩がかなりの振動と光でも描かれており、アクション映画でなくても、IMAXは素晴らしい。
展開としても奇抜なものでなく、想像した範囲ではあるが、理系の自分にとっては、知的なやりとりにとても興奮するうえ、後半部分の、置いてけぼり上等の展開はみものであった。
原爆の扱い方としては、特に言うことないが、劇場でみると、実験から投下の流れで、高揚感と恐ろしさと悲しさの複雑な感情が流れるのが、どことなく観客同士で通じている感覚がして、その体験だけでも劇場に見に行った意味があった。
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