「あだ名(略称)が可愛いオッピーの話」オッペンハイマー ブレスさんの映画レビュー(感想・評価)
あだ名(略称)が可愛いオッピーの話
天才物理学者J・ロバート・オッペンハイマーは『原爆の父』である。
内容は難しいですが、オッペンハイマーが原爆を”創るまで”から、”創った後”のことも知れる伝記映画です。
伝記映画ですので、実際の話を元に丁寧に作られていまして、原作本もあったりします。
『オッペンハイマー 上 異才』
『オッペンハイマー 中 原爆』
『オッペンハイマー 下 贖罪』
の三部構成の原作で自分は読めていませんが、映画が難解な話ですので、これから観る人は予習として見るのも良いかもしれません……。
(本を読了してから映画観るの……意識高くて凄いです……。)
この映画を観て自分は、
オッペンハイマーは実在する人なんだ──と思いました。
映画内容は非常に複雑で自分は内容を理解することが出来ませんでした……が、スクリーンの中にいたオッペンハイマーは正しく人間でした。
何を言っているのか分からないかもしれませんが、自分も何を言っているのか分かりません。
オッペンハイマーは皆さんも知ってるように、人の名前です、ですのでもちろん人間です……。
でも原爆を創ったやつです……。
観る前は、どんな冷徹でサイコパスなやつが出てくるのかと思いました。
血も涙もない、マッドサイエンティストを妄想しました。
ですが、観たあとのオッピー(オッペンハイマーのこと)への印象は変わりました。
彼は作中で最も共感出来る人物です。
性欲はまあまあ強くよく女性とHするし、友達を庇うためにたまに嘘もついちゃったり、破壊兵器を創って病んだり……。
劇中の一言。
「手が血で汚れているように感じます」
原爆を創った罪の意識から、水爆の開発に反対し続ける人生をオッピーは送ります。
彼は戦争を終わらせた英雄ではありません、進歩を止めなかった1人の科学者であり、人間です。
オッピーは自分達と同じく人間味溢れる1人の個人でした。
ですが、オッペンハイマーという映画は前述した、オッピーの人間味だけでは楽しみきれない難しい映画だと個人的には思います……。
バトル漫画のように主人公の成長を楽しむものではないんです……多分。
歴史漫画のように、オッピーの周囲の環境の移り変わり(歴史)も考えた上で、観ることで楽しめるようになると思います。
(映画なのに例えが漫画ばかりすみません……。)
ですので、作中に登場する時系列について触れようと思います……。
重いので触れるのは少々はばかられますが……劇中のラストに繋がる大切なところなので少しですが触れていこうかと思います。
理解して観て頂けた方がより映画を楽しめると思います。
(ネタバレにならないように……気をつけていきます。)
劇中には主に3つの時系列があり、場面ごとにそれぞれの時系列へ移り代わっていく形でストーリーが展開されていきます。
1つ目:1954年オッペンハイマーへの聴聞会
2つ目:1959年ストローズ長官任命の公聴会
3つ目:オッペンハイマーの学生時代から原爆を創るまで
の3つの時系列が劇中にはあります。
(聴聞会→意見を話す機会)
(公聴会→色々な人から話を聞いて何かを決定する)
他にも移り変わったりするのですが基本的にはこの3つの時系列です。
時系列が3つも用意されていて難しくなっているのです。
自分は、突然変わって頭が混乱しました……。
で、時系列と一緒に重要になってくる人物がいます。
もう1人の主人公? ストローズです。
突然時系列が変わったかと思ったら、モノクロ映像になったりします。
この映画は基本的にはカラー映像の映画なのですが、たまにモノクロ映像になるのです。
これは演出の1つとしてなっているもので、モノクロ映像のときはストローズの目線の時だそうです。
一人称的(心情が分かるよう)なのが貰えているためストローズの気持ちが劇中で伝わってきて、ストローズを主人公のように思えます。
劇中のストローズはオッピーの邪魔をするやつですが、彼にも彼なりの動機があるので、そこも注目して頂けると良いかもしれません。
これ以上話すとネタバレになってしまうかもしれませんので……まだ観れていない方は劇場またはご自宅等で是非ご覧ください!
面白い映画ですので、是非是非(っ ॑꒳ ॑c)
(三時間もあるので、時間のゆとりのある時に……)