「オッパッピーではない」オッペンハイマー ジョンスペさんの映画レビュー(感想・評価)
オッパッピーではない
ストローズっておっさん誰?とか、小部屋での聴聞はなに?とか基本的展開での疑問はもちろん、次々とさまざまなキャラが登場し、ノーランが大好きな時系列いじりが入り、さらに時間軸に沿って人物が歳を取っていくので、オッペンハイマーと本作に関する予備知識がないと正直、話がよくわからない(と思われる)。
のりぴーではなくオッピーの半生を3時間観せられる映画なので人物への興味がないとよりしんどいが、原爆の父という点で被爆国の国民としてはスクリーンを観続けるモチベーションがあるといえなくもない。原爆の恐ろしさはオッピー目線で入れてるけど、広島・長崎後、ヤンキーたちの喜びようを見せられるとやはりムカッ腹が立ってしまった。反面、後半のソ連に原爆技術が渡った?という疑惑の会話劇は事実は決している話だけにけっこう退屈。まあ、小バカにされたとの勘違いだけで嘘をでっち上げたストローズの低レベルな人格には呆れるが、役者がアカデミー授賞式での露骨なアジア人差別をしたロバート・ダウニーJr.だけに納得感はある(後付け)。
主人公の高慢な感じや女好きも描きつつ、6週間でオランダ語を身につけ講演したり、複雑な数式を見ながらあーでもこーでもないと議論する人間はどんな頭の構造なのかとは思うし、マンハッタン計画のためロスアラモスに街まで建設しちゃう徹底ぶりには恐れ入る。こんな顔アップばかりの映画をわざわざIMAXで撮ったり、撮影のたびに大セットをおっ立てたりしちゃうノーラン監督自身もかなりヤバいと思うのだが、それゆえオッペンハイマーに共感して映画にしたのかも(勝手な想像)。
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