「『ガリレイの生涯』よりも深い悔悟を感じ、『ジョーンの秘密』の方が罪が重い」オッペンハイマー てつさんの映画レビュー(感想・評価)
『ガリレイの生涯』よりも深い悔悟を感じ、『ジョーンの秘密』の方が罪が重い
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序盤はよくわからないまま進み、女性関係を描く必要性に疑問を抱いたりしたが、共産党との関係が深く、軍の依頼を受けるうえで、重要な問題であったことがわかってきた。そんな危険人物であるにもかかわらず、軍にとって重大な計画の責任を任せざるをえず、そして主人公もチームリーダーとして、様々な曲者をまとめあげた手腕は見事だった。開発のために町をつくり上げて、家族包みで生活を楽しむなんて、桁外れである。
当時、ドイツも日本も原爆開発に取り組んでいたことを考えれば、アメリカ政府だけでなく、主人公たちも、愛国心のままに開発に先陣を切ろうとした熱意や、ぎりぎりのタイミングで賭けに成功した幸運も理解できる。そして惨状を映像でみて、悔悟し、それ以上の開発に反対の論陣を切り始める。アインシュタイン氏だけではなかったのだ。『ガリレイの生涯』で語られる科学のもたらす害と希望よりも深い悔悟を感じ、『ジョーンの秘密』での選択の方が罪が重いと思われる。
政府だけでなく、私怨で主人公を貶めようという動きが出てくる。どんどん追い詰められていくが、権力と距離を置いた同志の科学者たちが、主人公を庇い、讒者を明らかにするところが快感である。
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