劇場公開日 2024年3月29日

「山崎さんより宮崎さん」オッペンハイマー しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)

0.5山崎さんより宮崎さん

2024年4月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

オレが本作に臨むにあたり、関心事として

・バーベンハイマーという社会現象
・アカデミー賞作品賞を貶したい
・公開延期
・あんまり好きではないノーラン
・オレ自身は被爆二世

さて鑑賞後どうだったかというと、結論からいうと、「ですよね」という。

「オッペンハイマー」




まず、大手が避けて、ビターズエンド配給について、確かに大金をはたいての「賭け」だとも思うが、作品賞確実、の予想もあって、発表後の公開という最大のメリットがあっての、「賭け」。「英断」とか、いやいや、商売ですよ、あなた。

ただ、初登場4位は正直ショックレベルの成績だとは思うが、見てみりゃ納得。

こりゃ大手は避けますよ。原爆どうのこうののリスクじゃないじゃん。よっぽど「パール・ハーバー」のほうが、「映画」として正しい。おまけに日本で大ヒット。(ふふふ)

自意識過剰、被害妄想のおっさんが、コミュ障の天才に逆切れして陥れようとするが、なんだかんだ(ここ、ほんとどうでもいい)で失敗する話。その天才が「原爆の父」だったから、ちょいと、本編真ん中辺に、爆発見せました、という映画。

よって、被爆二世のオレはこれを見て、こんなお話にするなら、オッペンハイマーじゃなくてよいじゃん、というだけで。がっかりとかそういうんじゃなくてそもそも「期待している」オレがバカだったということ。

内容わかってて元広島市長と高校生に「見当違いのもの」を試写にみせるのはどうかなあ。いくら商売でもさ。

この絶好のタイミングですら、「まず間違いなく」日本ではコケることになろうが、いやあー、ほんとネットは怖い。実際に映画を見ると、「バーベンハイマー」なる社会現象すら、フェイクに思えるほどだし、その現象が本物だったとしても、この映画を「バービー」と一緒に「見に「行った」だけ」に盛り上がったとしか思えない。

そして、ノーラン。相変わらず音響だけはもう病気のレベル。ノーランとビルヌーブとランティモスはもう、音響で吐き気がする。

ただ、「ゴジラ-1.0」の山崎さんが「日本がアンサー映画を作らないといけない」とノーランと意気投合したようで、それは結構な話だが、そういえば、飛行機を作ることが夢だが、大人になったら、美しい戦闘機を作らされた主人公の映画があったじゃないか。

「オッペンハイマー」をより娯楽に、よりメッセージ色が強い、(たとえジブリ効果あろうとも)日本で大ヒットした、ああ、オレが見たかったのは「風立ちぬ」だったんだ。

別にジブリファンでもないんだが、オレはこのタイミングで宮崎さんの本作の鑑賞コメントが聞きたいね。興味深い。

もちろん、ゴジラを進化させた山崎さんが、そのへんのニュアンス汲み取って、実は庵野sんじゃなく、山崎さん、というトリッキーな後継もアリなのかもしれない。

まあ、3人とも特別思い入れはないですけどね。

追記
ロバート・ダウニー.Jrの件

ノーランはひょっとしたら、大金を集められる存在だが、「アメリカの闇」をドストレートに描くことをせず、相当歩み寄って「原爆」「赤狩り」などをやんわり描くことにチャレンジしたと、思いっきりひいき目でみたとしても、Jrがあんなことになってしまうようでは、すべてが水の泡、もともと「闇」を描くことを避けた、関心がなかった、と思われてもしょうがない。

だから、アカデミー賞は面白い。

しんざん