「私の手は血塗られているbyオッペンハイマー」オッペンハイマー 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
私の手は血塗られているbyオッペンハイマー
(なにを泣き虫男が、とトルーマン大統領は立腹!!)
作ったのはオッペンハイマーだが、投下を決断したのは
俺様だ!!とトルーマンは思ったのだ!!
広島・長崎に原爆投下が成功した祝賀会。
オッピー!!オッピー!!と熱狂するアメリカ人。
彼らの心に、業火に焼き爛れ苦しみ死んだ20万人の日本人の顔は
浮かびもしない。
それがアメリカ人の現実。
《原爆投下はこの戦争を終わらせるためだった》
この台詞は飽きるほど聞いています、
免罪符のように!!
《配色濃厚だった日本に原爆投下は本当に必要だったのだろうか?》
オッペンハイマーには原爆を投下すれば
広島で11万人。
長崎で7万人。
合計して20万人近い人が死ぬことは事前に分かっていたのです、
明確に。
オッペンハイマーは苦しみます。
焼け爛れた人々の幻影や夢にうなされます。
《プロメテウスは神に逆らって、火を盗んだ、》
その言葉が度々示されます。
大きなプロジェクト。
【マンハッタン計画】
1942年。原爆の開発・製造を目的とする計画で、
そのリーダーが物理化学者のオッペンハイマー。
ニューメキシコ州の町ロスアラモスに50万人を集めて、
20億ドルと3年の月日を掛けて原子爆弾は製造された。
そして大掛かりな最終実験がニューメキシコ州の
【トリニティ・サイト】で行われた。
大きな画面全体に火の玉の爆発と大爆音。
ここがDolbyシネマの見せ場でした。
(私の観た映画館では、IMAXではなくてDolbyシネマ上映でした)
トグロを巻く火球は溶岩の噴出のように煮えたぎっています。
そして、ためらいつつも、広島・長崎の原爆投下のゴーサインは出て、
原爆は投下されてしまいます。
【第3章】
そして戦後の1954年。
この映画のもう一つのハイライトは、
赤狩りの標的となり、聴聞会で吊し上げられるオッペンハイマー。
オッペンハイマーの視点での回想シーンはモノクロです。
妻キティー(エミリー・ブロント)は、
「どうして反撃しないのよ!!」と怒るけれどオッペンハイマーには、
そんな気力もなく俯いているばかり。
そして1959年の公聴会では
ここで鬼の首を取ったように暗躍するのがロバート・ダウニーJr.が扮する
アメリカ原子力委員会の委員長のルイス・ストローズ。
そのストローズのオッペンハイマーへの策略を追求されるシーンは
カラーで(オッペンハイマー以外の視点はカラー映像なのです)
この辺の時間経過が分かりにくく混乱しました。
ストローズのオッペンハイマーへの敵意と嫌らしさは、浮き彫りにされる。
それにしてもストローズの実物写真を見ると瓜二つです。
はじめ見たときロバートダウニーJr.とは気付きませんでした。
狡猾で人でなしでコンプレックスが強く、隙あらば人を出し抜く
そんな男。
オッペンハイマーは共産党協力者の烙印を押されて、
公職から追放されてしまいます。
(2022年に撤回される)
この小狡い男の演技でロバートはアカデミー賞助演男優賞を受賞。
そしてもちろんキリァン・マーフィーもアカデミー賞主演男優賞を
受賞します。
【まとめ】
核兵器の開発競争に各国が血眼になり、
特にナチスドイツに先を越されることを何より恐るアメリカが、
如何にして原子爆弾をオッペンハイマーをリーダーに
開発・製造に奔走して成功する過程は興味深いものではありました。
ヒトラーが自殺してドイツが降伏して、もう殆ど壊滅状態の日本への投下。
日本人の私には、
なんとか、止める手立てはなかったのか?と本当に悔しいです。
オッペンハイマーの苦しみなんか、広島・長崎の被爆者に較べたら、
おままごとのようなもの。
(確かに日本は戦争加害国ではあるけれど・・・)
そして現在の国際情勢は、ロシアとウクライナ、
イスラエルとハマスの戦争、
核で威嚇する北朝鮮・・・と予断を許さない状況です。
第二次世界大戦後、約80年。
核爆弾はその後一度も使われていません。
核の恐ろしさを日本人が身を持って伝えている事も一因でしょうか?
理性を失くした独裁者により、この世界中の叡智と努力が
無駄にならない事を願うばかりです。
「原爆の父」オッペンハイマーの半生記。
「世界を壊してしまった」
そう呟くひとりの天才科学者の功績と罪が浮かび上がり、
非常に重かったです。
琥珀糖さんへ
共感、ありがとうございました。
この作品、複雑な人間の思考へしっかりと迫った印象を受けましたし、オッペンハイマーが赤狩りの対象者であったことも初めて知ることの出来ました。
それにしても、今になって核の脅威が増してきていることが危惧されますが、昨今、過去を反省しない政治家を多く目にすることも、そんな危機を助長しそうで心配の種です。
あらためて琥珀糖さんのレビューに大共感です!今月観たドキュメンタリー映画『リッチランド』は、核燃料生産拠点で働く人々とその家族が生活するためにつくられた町で、原爆に対しての考え方について、日本人とは全く違うことに衝撃を受けました。こちらもヘビー過ぎてどんよりしてしまう作品ですが、配信等で機会がございましたら、是非!
最近思うことですが、
ハリウッドもアカデミー賞も
忖度しすぎで作品の出来栄えに満足できないのもあり、私見ですが、エブエブもその中に入り、あのイヤな奴も本作と比べての反応だったかもしれないと思いました。ただ失礼な振る舞いはダメですが。‥アカデミー賞の価値が下がっていく気がします。
早速ありがとうございます😊
あのエブエブの主人公の中国系の方へのですか。
ニュースでは見ました。
あのイヤな奴が本作のイヤなオッさんでしたか。
対アジア系も個人的にもイヤなことする奴なんですね。取りようで賛否ありますが、ニュースになるからには、ね。
使う事態になるのを避ける為かな、と。スペイン内戦ほどの気遣いは不要としても。戦争を出すならそれが真のメインであり反戦であるかと思います。アカデミー賞受賞式wowowを観なかったのですが、あのイヤなオッさん、何をしでかしたのですか。
ご返信ありがとうございます😊
そこを突いて来ますか。
ちょっとだけ書きかけてますが、
最初の方見逃したのですが。ま、いいっか。
本作琥珀糖さん含め他の方のレビューを拝読させていただいたら、考えの浅さに気づき、しかし、時間とっても変化できないと思います。先日のこの花の丘‥‥みたいに他のことメインと思わせての反戦かな?と。モロに描くと様々な考えがあるのでいらぬ神経を
おはようございます😃
考えグラグラ、アカ狩りをメインっぽく描きつつ恐ろしい核爆弾の
生みの親がつくる過程をも描いて科学の進歩は仕方ないとしてさあ皆さんどうする?と
投げかけているのでしょうか。
本レビューの冒頭の元気さが羨ましい限りです。
ありがとうございます😊
日本以上にアカを嫌ってますよね。原爆投下については、世界最初に成し遂げた力のあるアメリカを顕示しながら、その功労者のオッペンハイマーでもアカの疑いあれば徹底的に。国の功労者よりアカを忌み嫌う。
プーチンも中国もいい加減にしろ❗️でしょうか。
都会の映画館はいいですね。
琥珀糖さん病みつきな様子❤️
それから、いいこと体験されて来たのですね。普通の映画館で見聞きしてもビックリしたんです。
怖くなかったですか❓
ナチスと同じく、新たに土地を見つけ建設して事を起こす入念な入れ込みよう、落とすしかないですね。詳しく書いていただきありがとうございました😊
名前がいっぱい出て来てこんがらがっていました💦
こんにちは♪
コメントいただきましてありがとうございましたございます😊
現実のアメリカ🇺🇸の嫌な面ですね。
人にも国にもさまざまな面があり、
最近よく大谷翔平さんやドジャーズの試合とか観ることがあるのですが、
大谷翔平さんはもちろんですが、
球団選手の方々、ファンの方々、地域の様子なども見聞きします。
当然ですが、
全く違います。
日本人よりも好きに思える面もあり、
日本人と変わらない面もあり、同じ人間だとも思えます。
政治家とは違うにしても、
日本もだし、アメリカも
人はまた別です。
(アメリカ時間今日5/17を大谷選手の背番号17に因んで、ロサンゼルス市が、
"大谷翔平の日"と定めたそうです。100年に一人の選手だ、と。)
先手打たないとエラいことになるからと、爆撃することに世界中が反感持っているのですが、強いから気にしないのですね。
昭和20年8月6日と9日、日本最悪の日。
あと東京&大阪空襲と沖縄戦も
エゲツなかったです。
アメリカもアメリカですが、
日本も日本、
犠牲になった国民が、一番悲惨。
琥珀糖さんこんにちは^_^
嬉しいお返事ありがとうございます!!
琥珀糖さんのレビューは読みやすく知識豊富で勉強になります!
これからも楽しみに拝読させていただきます☺️
琥珀糖さんこんばんは!
共感、フォローしていただきありがとうございます!嬉しいです!
非常に重く考えさせられる映画でした。この映画がなければ、オッペンハイマー視点で考えることはなかっただろうと私は思います。
今後とも宜しくお願いいたしますm(_ _)m
オッペンハイマーの苦しみなんか被爆者に比べたらおままごとのようなもの
私も本当にそう思います。しかも被爆者は子供が多かったので、もうあのアメリカ人の歓喜には怒りしかないです。
おっしゃるように「免罪符」のように叫ばれた、戦争終結のための原爆と言うフレーズは、悪魔の声でした。しかも、誰でももしかしたら、発してしまうかも知れない。皆んなが狂気に向かう時は、何らかの免罪符が生まれるのでしょうね。
本当に叡智を形にすることと、叡智を正しく生かすための努力が無駄にならないことを願うのみです。
僕もロバートダウニーJr.に気づかなかったです。老練でかつ臆病な政治家の顔そのものでした。あの演技力は凄いなと思いました。
共感ありがとうございます。
日本への原爆投下については、日本が有色人種国家だったからとの説もあります。
原爆を語るには、原爆を作った者、原爆を使った国、原爆で被爆した国の視点が必要です。
しかし、アメリカの国民感情に配慮したのでしょうか、本作には、被爆国日本の視点がなかったです。残念です。
では、また共感で。
ー以上ー
こんにちは~。
何度もすみません
袴田吉彦マスターの喫茶店は松戸ですね。
ロケ地検索しました。
松戸は縁のあるところなんですね。
松戸も自転車でよく行きますよ。
ギリギリ都民ですが、
最寄りの駅は埼玉です😁
失礼しました。
こんばんは~。
不適切面白いですよね。
ドラマの設定場所が同じ区内であり、中学校が仕事場の近くなので、盛り上がっていました。
スカイツリーが良く出ていますが、あの辺は自転車で良く行くところです。
戦争って、始まってしまうとなかなか終わらないものだなぁと最近になって気づきました。
原爆の威力について、やっぱり最初は本当にわからないというところがリアルに感じました。
こんにちは~。
やっと今日観てきました。
アイアンクロウも観たのですね
私は来週の予定です。
ドルビーシネマで観られたのですね。
私はグランツーリスモの時に観ましたが、I'MAXとの違いがあまりわからなかったです。
コメント有り難うございます。年表作るのに丸一日かかったので火曜日は映画が観られませんでした。
でも、年表作って時系列を整理して見えてきたものもありました。
琥珀糖さんこんばんは。
コメントありがとうございます(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)”
映画は3時間と長丁場で、いろんな思いが交錯しましたが、観るべき映画だと思いました。日本に原爆を落とす理由や考えがあまりにも短絡的過ぎないかと痛憤の思いです。
コメントありがとうございます。戦時中は日本も朝永振一郎、湯川秀樹といった物理学の権威が原爆開発に携わっていました。東京大空襲で施設が破壊されてそれは実現不能となりましたが。ドイツがもし原爆を先に開発していたら、そして当時の軍国主義の日本が先に開発していたらと思うととても複雑な思いです。
戦後オッペンハイマーは上記の日本の学者たちを自分が所長をつとめるプリンストン研究所に客員教授として招いています。彼が所長に就任した時、例のストローズが理事長でしたよね。
ノーベル賞はその分野での権威ある人間からの推薦が受賞に大きな影響を及ぼしますからオッペンハイマーの推薦は湯川秀樹の受賞に寄与したものと言われてます。
こんにちは
自分がやらなくても誰かがやる、それなら自分がやったほうがマシ、という思いでしょうか。こういう場面は、日常でもよくあることで、オッペンハイマーは天才科学者ではあったけど、それ以外は普通の人だったんじゃないかと思いました。原爆を落としたのは俺様の「手柄」というトルーマン、唖然としました。彼やストローズ、良心が欠けている異常者のように見えてしまった。。
今晩は。
共感、フォロー、お心優しいコメントありがとうございます。
札幌は30数年前に行ったきりですが、空気が気持ち良く、水が美味しく、あぁこれが札幌かと。美しい街ですよね。残念ながら私は無縁です。口は悪いし、二言目には馬鹿野郎連発のまくしたてるばかりです。
くだらないことを言いましたが、琥珀糖さんのレビュー楽しみにしております。
琥珀糖さん、コメントありがとうございます。本来はドイツに投下するための原爆だったのが、ヒトラーの自殺でドイツに投下する必要がなくなったことにオッペンハイマーは少し安堵したのに、え、なんでさらに投下対象を探す?と驚くといったような場面ありましたよね?近々、日本語字幕で見るので再確認します!
オッペンハイマーがいなくても、オッペンハイマーの役割をする代わりの人が出てきて、原爆は完成されたのでしょう。
表題の「私の手は血塗られている」はオッペンハイマーではなく、別の人の言葉として聞いたことがあり、それが何だったのか、今はわからないので、また調べてみることにしますね。