「気軽に楽しめる令和版•忠臣蔵」身代わり忠臣蔵 チーズさんの映画レビュー(感想・評価)
気軽に楽しめる令和版•忠臣蔵
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若い観客層を取り込むためだろう。時代劇の渋くて堅苦しい演出ではなく、ポップで見やすい作りになっていた。こういう系統の作品は脚本の中身が薄くなりがちで、本作もそういった点が確かに見受けられたが、ちゃんと練られていた部分もあり、予想以上に楽しむことができた。
本作の立役者は、やはり主演を務めたムロツヨシだろう。コメディー作品に多数出演しているとだけあって、ちゃんと笑いの間というものを理解している。やりすぎな場面もいくつか見受けられたが、後半に多くあった真剣なシーンといい感じで釣り合いがとれていて良かった。あんなにふざけていたムロツヨシが、終盤にはカッコよく見えたのは流石の一言だった。
本作の笑いが個人的に肌に合ったのも非常に助かった。急にラグビーっぽくなったり、吉良上野介の遺体が塩の中に隠されていたり、ツボってしまう部分がいくつかあった。全く肌に合わない人もいただろうが、個人的には受け入れられる範囲の笑いだった。
吉良家の目線から忠臣蔵を描いたのも新鮮だった。忠臣蔵といえば47人の赤穂浪士の目線から描かれることが多いが、あえて悪役の吉良家を中心にすることによって、“討たれる側”の思いも映像化することができ、新たな忠臣蔵映画を誕生させることができたと思う。
時代劇が苦手な人も、気負わずに観れる佳作だったと思う。
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