宇宙探索編集部のレビュー・感想・評価
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中国のドン・キホーテとフール・オン・ザ・ヒル
夢を追い求め時代に取り残された中年男・タンが主人公だ。若い頃に抱く「この道で一生食べていく」とか「何者かになる」といった夢を貫いて成功するのはほんの一握りでしかないと身をもって知っている大人なら、落ち目の雑誌「宇宙探索」の編集長でUFOを探し求めて旅するタンの“痛さ”が深く刺さるはず。 騎士道物語を読み過ぎて現実と物語の区別がつかなくなった男が冒険の旅に出る「ドン・キホーテ」を思わせもする。
タンと一行は怪現象の目撃情報を頼りに中国西部の村へたどり着き、頭に鍋をかぶった若者スン・イートンに出会う。彼を見て思い浮かんだのは、ビートルズのポール・マッカートニーが書いた「フール・オン・ザ・ヒル」。サビ部分は「丘の上の愚者は太陽が沈んでいくのを見る 頭の中では世界が回っているのを観る」といった詞で、天動説が信じられていた17世紀初頭に地動説を唱えたガリレオ・ガリレイを想起させる歌だ。
映画大学の学生だったコン・ダーシャンによる卒業制作とは思えない完成度に驚かされる。“内なる宇宙”と対(つい)の“外なる生命”とでも呼べそうな壮大なイメージはキューブリックの「2001年宇宙の旅」、UFOやエイリアンを信じる人が頭のおかしい人のようにも見えるという点ではM・ナイト・シャマラン監督作「サイン」、そして現代のドン・キホーテ的人物を描いた点では「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」といった先達の諸作に呼応するようにも感じた。
ラスト近くでタンが目にする衝撃的な出来事が、毒キノコの影響による幻覚としても解釈可能にしているのも、巧い語り口だと感心。
笑えないおっさん劇場に笑いながらなぜか涙が。
サイエンスフィクションというのは、宇宙や未知の事象を扱いながら、じつは、人間そのものを描くもの、と以前に聞いたことがある。
この作品は、まさに、人間そのものを描いている。
笑いながら、笑えない。だけども、笑うしかない。
夢を見ることは滑稽だ。
しかし、夢がなければ、この世界は、辛く哀しいことばかり。
たかが映画、されど映画。
やっぱり映画っていいな。
人間が愛おしくなります。すごい卒業制作作品!
タン編集長は報われた
かつては売れていたが、今は廃刊寸前のUFO雑誌「宇宙探索」。そんな中、タン編集長は、中国西部の村で宇宙人の仕業と思われる現象が起きた、という情報を得る。編集長と部員らは現地を調査し、鍋を頭にかぶった少年イートンと出会う。そして一行は、さらに山奥へ。
演出はドキュメント風。そのため場面途中でブツブツ切れて、目が疲れて眠くなりました。なんとか真相にたどり着き、報われるタン編集長でしたが、自分にとっては思ったほどの驚きはありませんでした。
新感覚のロードムービー。 1世代前を思わせるような撮影手法で、演出...
新感覚のロードムービー。
1世代前を思わせるような撮影手法で、演出もカメラワークもセンスを感じた。
オカルト系かと思いきやクラシックが流れる叙情的な雰囲気のロードムービーになり、それでいて間延びすることなくくカメラカットなどでテンポが維持されているので見ていて嫌にならない。最後もオカルト要素も捨てることがなく、それが映画が作り出した雰囲気を壊さないようになっていた。
こういうのいでいいんだよ
「映画ってこういうのでいいんだよ」という感想。出会えて幸せでした。
ストーリーは楽しい、映像は雄渾で素晴らしい。演技はそれぞれの役者さんががノリノリ。元気な頃の香港映画を観たような爽快感が残る良い作品でした。
監督の知に働いて角が立つ感じが少しだけ残念でした。
モキュメンタリー風エモい映画
宇宙と宇宙人にこだわり続けるタン先生。30年前は注目の人でも今はただのイタい人。じり貧の人生一発逆転をかけ四川の山奥へ。
あちこち笑えます。不思議も起こります。そしてエモい。
モキュメンタリーなので、ダルい展開もあって寝落ちしたところもあるけど、美しく懐かしい風景と劇伴に助けられエモい。
昭和のSFファンには刺さるなー
なんというか、SFマガジンに広告がでていたけどSFではない
SFマガジンの裏表紙に広告がでていて、ムーがプッシュとなれば、そういう映画を想像するわけなのだけど、全然そういう映画ではない。むしろ、ヒューマンコメディか?
かつてイケてる雑誌だった「宇宙探索」は今や廃刊寸前。編集長は、さえない中年というか、ただの危ないオッサンにしかみえない。その危ないオッサンが、本当に危ないオッサンなのかどうかは映画をみて考えたのだけど、まあそういうわけで、イケおじになれなかった、さえないオッサン映画がとしてみると、いろいろ味のある映画だとおもった。
予想の何倍も良かった♪
日本では上映される事が少ない中国の映画で、
中国の映画って、クオリティ大丈夫なのかな?面白いのかな?
と半信半疑で観たんだけど、結果とても良かったです♪
最初オープニングが良くて、名作の予感に心が高まり、
意外と面白いなー♪と楽しんで観てて、途中で少しダレた感もあったが、
最後、ロマンチックだったり、壮大だったり、考えさせられたり、たたみかける様に良さがキタ♪
この最後で評価がグッと上がった♪
UFOや宇宙の話が軸にあり、中国の都会から田舎までを移動するのですが、本当に中国を旅してるみたいで楽しかった。
クスっと笑いながらユルく観れる映画でもあり、不可思議な映画でもあり、最後は素敵な余韻を与えてくれます。
才能を感じる監督で、この監督の作品を、もっと観たい。
迷ってたら観てほしい作品です。
誰も分からないと思います。
存在があやふやな宇宙人
廃刊になりそうな雑誌
そして存在の意味が分からない人類
安っぽい映像に小難しい宇宙論、何が言いたいのか不明でしたが、結局は娘の為?
宇宙の小ネタは楽しかったです
ベテルギウスはまだ超新星爆発してないよ
あの口喧しいおばさんは会社で何の職務だったんでしょう
月刊ムーは制作に関わっていなかったけど。。。
本作のチラシを見たら、懐かしの「月刊ムー」のロゴマークが載っていて、ムーが制作に関わっているのかなと思い観に行ってみました。結果はムーとコラボ企画をしていただけで、制作には一切関係していないことが判明。その点は(よく確認しなかった自分のことを棚に上げて)非常に残念でした。
内容的には、1990年代に中国で流行した「宇宙探索」という、日本で言うところの「月刊ムー」みたいな雑誌の編集者であるタン先生が、2020年代になった今でもUFOを探し続けるという中々イタイお話。勿論完全なフィクションですが、ドキュメンタリー風に撮影されたもので、いわゆる「モキュメンタリー」に分類される作品でした。
「宇宙探索」という雑誌、かつての流行は去り、今や事務所の光熱費も賄えないほどの窮乏状態に陥っており、しかもUFO探査の方法も、最新鋭の技術を使う訳でなく、電波が来なくて砂嵐しか映っていないテレビの画面を見て宇宙からの交信をキャッチするというもの。ネットスラングで言うところの”デンパ”そのものので、とにかく哀愁しか感じられないタン先生ですが、物語が進んでいくうちに、涙なくしては語れない彼の過去も明らかになっていき、最後は応援してました。
クライマックスの一番の見せ場のシーンはB級SFっぽい感じでしたが、タン先生の幻覚だったという解釈も成り立つような創りになっており、ストーリー的にもそれなりに練られていました。ムーが関わっていなかったのは残念でしたが、総じてみれば期待を上回る作品だったと思います。
「宇宙探索」編集長密着24時!
若い頃には、カッコ良く夢を語っていた編集長も年月を経るにつれ、
情けないダメオヤジと化すタン編集長。
それでも皆が宇宙の事など考えなくなった現代になっても、
ひたすら宇宙への夢を語り、探索を続ける。
馬鹿にされようと止められようとも、土埃まみれた田舎道でも、
山奥でも信じた道を淡々と突き進む。
同行者の都合なんかお構いなく⁉
そんな宇宙人一途な編集長からだんだん目が離せなくなっていく。
年季の入った中国の古い建物の一室の編集部。
土臭いリアルな中国の田舎の風景、そして唐突にロバ…
ドキュメンタリー調でありがながら、何となく可笑しくてゆるくてシュール。
そして所々に現れる「西遊記」のキャラ。
もしかしてこのキャラ達、編集長を監視している宇宙人なのでは?
そう解釈しても良いかもしれない。
ユルい✨
ゆったりテンポでクスッと笑かしてくれる作品。
リズムよく、日本人だと笑えなかったりする分かり易い笑いの多い中国映画で、この系は初めて観ました。(逆にこのユルいくすぐりで中国人は笑うのだろうかと思ってしまいました)
編集長のひたむきで、実直なキャラに癒やされるのですが、中盤辺りでちょっと睡魔。90分くらいでまとめてもらえてたら良かったかも!?
なんだかジワる。
日本だと「ムー」とか「トカラ」みたいな感じだろうか、中国のUFO雑誌編集者の熱い思いが滑稽で、しかし観てるうちに子供の頃夢中になったあの感じが、じわじわ熱く込み上げてくる良作。映画大学の卒制とは思えない。
美術が本気で素晴らしい。
映像はドキュメンタリー風に作ってるからカメラ手持ちで不安定。三半規管が厳密な人はきついかも。
話は長めだが伏線も小ネタも良い感じ。
中国は国のデカさ半端ないから辺境に行くとほんと凄いらしい。文法が違う少数民族まだたくさんいると聞く。
それだけで探索、探検。
ロマンとか、不思議とか、、、追っかけて想像するのが楽しいんだよね。たとえドンキホーテと呼ばれても行動した人しか経験できない事ってのが確かにあって、
それは本当尊いのだよ。
あぁ、いい映画みたー。
とても温かい気分になれた
珍しい中国発のSFコメディかと思い行ってみたが、予想外の収穫だった。心を広く持って観てほしい。
最初はモキュメンタリー風で、ムー的な、分かってて楽しむという感じなのか、それでもいいがシニシズムの対象がずっと主人公なのはちょっと辛いかなと思ったが、第2部が(日本公開作で見られるのは珍しい?)ロードムービーになって、俄然全員に感情移入できるようになる(英題"Journey to the West"のとおり西域に向かうのだが、これは宇宙の真理を求める西遊記か?)。さらにそこから出会いがありどんどん展開していくので、温かく見守っていただければと。
メタ的には社会的包摂の視点があるようにも感じた。
余談:宇宙服の胸パネルの書き文字が裏返しなのは、手首の鏡に写して操作する(ヘルメット内から直接は見えない)ためで、あれは本物でないとしたら精巧に作られたレプリカだろう。雑誌が当時すごい力を持っていたというのを裏付ける話である。
火の玉シュート
配管寸前の科学雑誌「宇宙探索」の編集部のメンパーが宇宙人の仕業と思われる怪現象の取材に行く様子を密着した様な体でみせるモックドキュメンタリーテイストの作品。
至ってマジメに取材を進めて行く編集長のタン先生と、これっぽっちも信じていない女性と、小ネタ少々のGパン&読者というメンバーが鍋を被った男と出会い…。
ズレたことをマジメにやっている姿をみせるコメディで、中国映画でこういうのを観たのは初めてかも!?
くだらなくてクスリとさせる描写をみせつつ進行していき、こういうのが好きな一定の層にはハマるんだろうけれどねという感じだったけれど、なんだか突然ファンタジー?
こういう作品でこの尺は流石に長いし、この作品でこのエピローグもちょいダルだった。
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