「Earth」火の鳥 エデンの花 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Earth
火の鳥は中学校の漫画コーナーに置いてあったのを読んだくらいなので、しかもかなり前なのもあって内容はほぼ覚えていません。すごいフレッシュな気分での鑑賞です。
とある事情から地球を脱出し、辺境惑星エデンに逃げ込んだロミとジョージ。その星で文明を築こうとするが、ジョージが事故で死んでしまい、このままだとコム1人残して死んでしまうと危惧したロミは13年眠り、病状を回復させようとするが、誤って1300年のゴールドスリープについてしまい…といった感じのあらすじです。
1300年の眠りから目覚めたロミが見た世界は文明が発展した世界で、コムが残した遺伝子が大繁栄を生み出したというザ・SFな展開に持っていってくれます。
その世界で目覚めたロミが願ったのは地球へ向かう事、やはりふるさというものは切っても切り離せないんだなと、どれだけ浮世離れした世界でもその想いは変わらないんだなと人間味を強く感じることのできるシーンが多く盛り込まれていました。
他の文明が自然に育った文明を貶していく様子はどの時代にも存在するよなと思って見ていました。麻薬を混ぜた水でそれぞれの欲を全て解放し、人を憎み合い、やがて武器を持って互いを撃ち始める。映っているシーンこそ少ないけれど、その残酷さはこれでもかと表現されていました。
あえて火の鳥をメインに据えるのではなく、ロミを主人公に据えた物語で進めるというのはかなり斬新で、新鮮な気持ちで観た自分にとっては作品の見やすさにも直結していて良かったです。
とっても残念だったのが窪塚さんの声当てが絶望的に下手だったところです。急遽現場に放り込まれたとかならこの演技でも仕方ないなとは思うんですが、絶対にそんな事無くアフレコに挑んだんだと思うので、棒読みすぎましたし、感情を爆発させるはずのシーンなのに全然そんな事ないのがノイズでした。まだ序盤でフェードアウトしてくれたのが救いでした。
宮沢りえさんは全体的に聞きやすかったんですが、若い頃と歳をとった時の声が変化があまり感じられなかったのが惜しかったです。こういう起用を見るとやはり本職の声優が良いなと思うことが常々です。
STUDIO4°Cのアニメーションは圧巻で、エデンの星の繁栄っぷりと荒廃した様子の描きわけが凄すぎました。未知なる宇宙のカラフルさや地球の残された自然の美しさと、アニメーションの美麗っぷりがお見事でした。
手塚治虫作品をリアルタイムで観ることの出来なかった世代にとって、ある種のタイムスリップをさせてくれた作品でした。SFって奥が深いなと改めて感じました。ハッピーともバッドとも取れる終わり方、色々な想像が膨らんでより楽しめました。
鑑賞日 11/4
鑑賞時間 14:05〜15:50
座席 D-9