キリング・オブ・ケネス・チェンバレンのレビュー・感想・評価
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言葉が出てこない。
衝撃すぎて言葉が出てこないな。
なぜ彼が警官に殺されなければならなかったかより、なぜ警官が罪に問われないのかの方が気になった。
怒りしかない。
たとえ場所が危ない地域だったとしても、全く話を聞く気がなく全てを悪い方向から考えて自分たちが正しいと決めつけた警官二人が怖すぎる。
唯一守ろうとしてくれていた彼は、教養のある人物だったなと思う。彼がここで警官を諦めないで、もっと上の立場に上がってこの警察署の質を上げてくれてたらいいなと思った。
全ての問題は話し合いが全くできなかったことにあるように思う。
救いがなくとても気持ちが落ち込む映画だったけど、唯一良かったことは実際にこんなことが起こる世界だと知ったことだな。
物凄い緊迫感と絶望感…
精神疾患を患う黒人男性が、誤って医療用通報装置を作動させたことで自宅へやってきた白人警官によって殺害されたという実際の事件をもとに、
モーガン・フリーマンの製作総指揮で、映画化された作品。
ほぼリアルタイム進行で描かれるゆえ、回想シーンが無い。
過去に彼が白人警官から受けたであろうことが、仄めかされる部分に非常に意味があると思う。
83分間に起きた悲劇は、この時だけ、彼だけに降りかかったものではなく、蔓延していた。
そして今もなお存在するという、恐怖…。
非常にスリリングで、「デトロイト」や「フルートベール駅で」を想起しました。
もうこんなことは2度と起きてはいけない。
実際の音声がさらに残酷さを強烈に印象づけて、なかなか忘れ難い一作になりました。
観るべき作品
思い込み、差別、慢心
Filmarksオンライン試写にて
無実の男が警察によって殺害された事件を、彼が殺されるまでの90分とほとんど同じ尺で描く。
上映時間を実際の事件に寄せることで、ケネス自身が体験した恐怖を追体験できるようになっています。
本当に新たな恐怖との出会いでした。
怒りや呆れ、悲しみ。
すべてのやるせない感情が混じり合い忘れられない一本となった。
なぜならこの作品は”事実”だから。
”精神障害を患う70代の男性”
このパーソナリティに”黒人”や”元米兵”が加わるだけで、その人の見る目が変わってしまうのか。
「黒人の男性だから、部屋で人を監禁している可能性がある」
彼はただ機械の誤作動で”安否確認”のために警官を呼ばれただけで、彼らが過度にパーソナルスペースに押し入る権利なんてなかったはず。
これは確実に警察側、警官の人間性、そしてバイアスの問題かと思います。
そもそも警官と言っても、公的な許可なく人の家に押し入ることなんてできない。
こんな至極当たり前の常識が”勘違い”や”バイアス”によっていとも簡単歪められてしまうものなんですね。
彼らの抱く「犯罪を未然に防ぐべきだ」という正義感
「黒人だから徹底的に調べるべきだ」という差別意識
「警察なら正義のために、法に逆らって独断で判断できる」と言う慢心(うぬぼれ)
これらが不運にも重なってしまったとも考えられるが、彼は本当に運が悪かったのだろうか?
そんなはずがないから、防げたことだからこそこの作品を撮ったのだと思います。
アメリカ全土でまだまだこのような事件を耳にします。
日本では毛頭見かけることのない状況だからこそ、見なければならない一作です。
集団狂気
誤解と偏見が生んだ人間の狂気
2011年11月にアメリカ・ニューヨークで発生した白人警官による無実の黒人射殺事件を映画化。この2年後にブラック・ライヴズ・マターが起こった事を鑑みても、人種問題の根深さを垣間見れるが、この事件に関しては人種以前に社会的弱者への誤解と偏見が露呈している。
本作プロデューサーのモーガン・フリーマンは、「警察は裁判官、陪審員、死刑執行人ではないのに、現実ではそうなってしまっている」と語る。法と秩序を司る警察が、それを放棄してしまったらどうなるか…
銃社会ではない日本とは無関係と決めつけてはならない。奇しくも日本では同時期に公開された『福田村事件』も、誤解と偏見による人間の狂気が描かれる。冷静な判断ができない者がもたらす悲劇は、銃の有無を問わず万国共通で起こり得る。ラストで明かされるこの事件の顛末もじつにやるせない。
本作と『福田村事件』のセット鑑賞を推奨したいところだけど、立て続けに観ると気が滅入ってしまうのは必至なので、体力が万全の時にしましょう。
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