「狂う倫理観・道徳観」キリング・オブ・ケネス・チェンバレン ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
狂う倫理観・道徳観
2011年に起きた、
無実の黒人男性が白人警官に殺害された実在の事件の映画化。
殺害に至るラストまでの90分をほぼリアルタイム進行で描き出す
ワンシチュエーション作品です。
『福田村事件』と類似した
人間の群集心理というか、どんどん倫理観や道徳観などが狂ってきて、
それが集団に伝播する恐ろしさを、まざまざと描きだしています。
こんなことはおかしい!という警官も2名いるのですが、
それでも止められないのですよね。
本当に恐ろしい、もはやホラーですらあると思いました。
劇中で、ケネス・チェンバレンが殺害された直後に、
実際の音声が流れるのですが、それを聴くと映画の中のフィクションではなく
これは現実なんだということを実感させる演出で、
これまたゾッとした次第です。
でも、こういう作品は観た方がいいなと思っていて、
自分がこの警官たちみたいになっていないか、という
自分自身の客観視の大切さの示唆も得られた作品でした。
90分と短い作品でありながら、終始緊迫感があり、
現実の話でありながらも、実によくできた作品となっています。
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