「Veryサスペンス Veryスリラー」キリング・オブ・ケネス・チェンバレン 越後屋さんの映画レビュー(感想・評価)
Veryサスペンス Veryスリラー
映画のレビューや評論は、撮影前に決まっているストーリー(脚本)や主題について言及するものが殆どで、撮影、編集を経て完成した肝心の「映像」についてはないがしろになる傾向があります。特にこの作品のようにテーマ性が強い場合、その傾向が顕著ですので、映像とテーマを分けて愚見を述べます。
①映像としての評価
リアルタイムの手法が緊迫感を高めます。極端に限定された空間で、単調になりがちな展開を頻繁なカット割りの変化でサスペンスを高揚させています。
説明的な場面を省いているのに、各人の性格も明確に描いています。
②主題、ストーリーについて
米国における黒人差別の告発がテーマですが、警官の立場からすれば犯罪の頻発する貧民街であれほどかたくなに警官の入室を拒否すれば、疑いを持つのは当然ともいえます。警官があれほどの人数でアパートを取り囲み、防弾盾を立てて部屋に突入したことは、警官隊のリアルな警戒感を現わしています。
確かに、殺してしまうのは行き過ぎですが、誰でも銃を持てるアメリカにおける警官たちの行動はある程度は理解できます。銃社会がもたらすアメリカの悲劇ともいえましょう。
黒人差別の側面は否定しませんが、たとえ白人でもスラムのいかれポンチのアンちゃんなんかは警官にボコボコにされてます。
その意味では、黒人差別の訴求力は弱い、と言わざるを得ません。
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