劇場公開日 2023年9月15日

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「思い込み、差別、慢心」キリング・オブ・ケネス・チェンバレン じぇんぬさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0思い込み、差別、慢心

2023年9月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

怖い

Filmarksオンライン試写にて

無実の男が警察によって殺害された事件を、彼が殺されるまでの90分とほとんど同じ尺で描く。
上映時間を実際の事件に寄せることで、ケネス自身が体験した恐怖を追体験できるようになっています。

本当に新たな恐怖との出会いでした。
怒りや呆れ、悲しみ。
すべてのやるせない感情が混じり合い忘れられない一本となった。

なぜならこの作品は”事実”だから。

”精神障害を患う70代の男性”
このパーソナリティに”黒人”や”元米兵”が加わるだけで、その人の見る目が変わってしまうのか。

「黒人の男性だから、部屋で人を監禁している可能性がある」

彼はただ機械の誤作動で”安否確認”のために警官を呼ばれただけで、彼らが過度にパーソナルスペースに押し入る権利なんてなかったはず。

これは確実に警察側、警官の人間性、そしてバイアスの問題かと思います。

そもそも警官と言っても、公的な許可なく人の家に押し入ることなんてできない。

こんな至極当たり前の常識が”勘違い”や”バイアス”によっていとも簡単歪められてしまうものなんですね。

彼らの抱く「犯罪を未然に防ぐべきだ」という正義感
「黒人だから徹底的に調べるべきだ」という差別意識
「警察なら正義のために、法に逆らって独断で判断できる」と言う慢心(うぬぼれ)

これらが不運にも重なってしまったとも考えられるが、彼は本当に運が悪かったのだろうか?

そんなはずがないから、防げたことだからこそこの作品を撮ったのだと思います。

アメリカ全土でまだまだこのような事件を耳にします。
日本では毛頭見かけることのない状況だからこそ、見なければならない一作です。

二ノ前
Mさんのコメント
2023年10月21日

「見なければならない」賛成です!

M