「キャスティング、脚本で大失敗」ナポレオン さんぷーさんの映画レビュー(感想・評価)
キャスティング、脚本で大失敗
見る前から不安だったが、悪い予感が的中。
まず、アラフィフの老けたホアキン・フェニックスがあまりにもミスキャスト。
20代から30代にかけての、才能と野心に満ち、子持ち女の色気に迷う若きナポレオンを、なぜあの「ジョーカー」が演じるのか?
これでは、ナポレオンが人生に疲れて才能のない中年童貞男にしか見えない。
それでいて、史実では年上のジョセフィーヌやバラスに一回り以上若い役者を起用しているから、ジョセフィーヌの色気もバラスの腹黒さも伝わってこない。
で、老けたナポレオンの周りに若い役者ばかりおいて、同年齢のウェリントン役には一回り上のおじいさん俳優を起用。
このキャスティングはなんなの?何が目的なの?奇をてらった?
脚本にしても、トゥーロン攻略こそ長めの尺だが、有名なイタリア遠征は全てカットされ、エジプト遠征は少しだけ。
王党派の市民を虐殺しただけのナポレオンが、なぜ国民から熱狂的な支持を受け、権力を握れたのかまるで伝わらない。
アウステルリッツの戦いでは、氷を砲撃で割るシーンばかり頑張ってて、それ以前の連合国軍をはめたナポレオンの華麗な戦術は丸々カット。
トラファルガー海戦もプロイセン戦争もスペイン遠征もカット・・・。
この映画を見てナポレオンが戦争の天才だったと感じることができるだろうか?
全体として、戦闘シーンと衣装に金と手間をかけ、さすがリドリー・スコットという映像美はあるが、事件、人物、戦争、諸々カットしすぎで、所詮、2時間半でナポレオンの人生を語ろうというのが無理な企画だったとしか言えない。
近隣の映画館では早々に放映打ち切りとなっているが、ナポレオンに詳しい人には納得できず、知らない人には理解できない、この出来では当然だろう。
そのうち動画配信には流れるだろうし、そちらで見れば十分な作品、