「野望とプライドと愛欲と嫉妬、生の人間ナポレオンとジョセフィーヌの物語」ナポレオン 麻布豆ゴハンさんの映画レビュー(感想・評価)
野望とプライドと愛欲と嫉妬、生の人間ナポレオンとジョセフィーヌの物語
IMAXレイトショーで観てきました。余りにも有名なので良く知ってる様でいて、実は歴史年表的な事績の羅列以外では、特に人物についてはそれ程よく知らないナポレオン。
野望と嫉妬に苦しむナポレオンと妻ジョセフィーヌを軸にして、メインテーマは劇的な英雄譚というよりも、誰もと同じ人間的弱さをふんだんに持った矛盾を抱えた人物像とその生きざまを炙り出すヒューマンドラマという感じでした。ホアキン・フェニックスとヴァネッサ・カービーの演技がとにかく素晴らしい。この内容で「英雄か、悪魔か」なんて副題は例によって配給会社のセンスの無い宣伝担当が付けただけで『首』の予告編「巨匠北野監督、構想30年!」と同じで観る前に先入観付けられて誤解するから要らんことすな、って感じがします。
これをダラダラ冗長で退屈だとか、もっとテンポの良い一大スペクタクルドラマに寄せて欲しかったと取るかどうかはその方次第でしょうが、でも政戦両略の駆け引きの妙とか、史劇として欲張ると実際には最低でも3部作くらいにしないとナポレオン1世の壮大な事蹟は描き切れないでしょう、アタシは過不足なくバランスが取れてたと思います。
トゥーロン攻囲戦、エジプト遠征、アウステルリッツの3帝会戦、ワーテルローの戦い、など史実でも超有名な「ナポレオンの戦争」の場面は流石リドリースコット監督らしいスケールと臨場感に溢れるものでした。
特にアウステルリッツの3帝会戦のシーンは、なんと約80万〜120万m2に渡る広大な野原の土を掘り、氷の湖の表面を再現、さらにはその上を氷で固めた上で撮影したそうです。
コメントありがとうございます。こういう歴史物を見ると独裁者も我々と同じ人間なんだなと実感します。ご意見に同感です。それからこの映画では冒頭でギロチンシーンに熱狂するフランス国民の姿がありましたが、そうした時代背景、市民がナポレオンを産み出したんだなとも思いました。独裁者の出現はある意味必然なんだろうなと思います。
コメントありがとうございます。
> トゥーロン攻囲戦、エジプト遠征、アウステルリッツの3帝会戦、
> ワーテルローの戦い、など史実でも超有名な「ナポレオンの戦争」
> の場面は流石リドリースコット監督らしいスケールと臨場感に溢れるものでした。
ほんとそうですよね。二頭立ての馬を乗り換えながら偵察からもどってくる斥候兵なんて初めて見ました。細かいリアリティの追求と、一体、何人のエキストラを動員したかと驚くばかりの大人数。
4時間30分のディレクターズカットが、AppleTV+で配信されるとうわさですけど、今から楽しみです。
コメントありがとうございました!
ナポレオンほど「手垢のついた素材」になると、なかなか新しい切り口も難しいだろうなと改めて思いました。
実は女性だった、とか
死んだのは替え玉だった、とか
マンガ的発想で攻めるのは、さすがにやりすぎですよね?(笑)