「【”フランス、陸軍、ジョゼフィーヌ。”フランス革命後、一気に皇帝にまで上り詰めた男の終生一人の女性へ愛を捧げる人間的な姿と、戦での非情な姿を描く。数々の戦場の迫力溢れるシーンも見事な歴史大作である。】」ナポレオン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”フランス、陸軍、ジョゼフィーヌ。”フランス革命後、一気に皇帝にまで上り詰めた男の終生一人の女性へ愛を捧げる人間的な姿と、戦での非情な姿を描く。数々の戦場の迫力溢れるシーンも見事な歴史大作である。】
ー この物語は、冒頭フランス革命により断頭台で斬首されるマリー・アントワネットの姿から始まり、混乱のフランスの中勢力を拡大し皇帝にまで上り詰めるナポレオン・ボナパルト(ホアキン・フェニックス)の姿と、若き頃見初めたジョゼフィーヌ(バネッサ・カービー)を終生愛し続けた姿を、並列に描いた作品である。-
◆感想
・この作品は、ナポレオン・ボナパルトを英雄としては描かずに、一人の悩める男として描いている。そして、可なり史実に忠実に描いている。
■ジョゼフィーヌを演じたバネッサ・カービーの妖艶な美しさは見事である。
一目惚れしたナポレオンが初めて二人で逢った時に、椅子に座り足を開けて”覗いて御覧なさい。”と言うシーンの妖艶な表情や、子が出来なくてナポレオンと別れる儀式の際のやつれた表情も印象的である。
・ナポレオンがエジプトへ出兵している時に、ジョゼフィーヌに愛人がいる事を知ったナポレオンが戦を部下に任せて、フランスへ戻る姿。
ー どれだけ、愛してるんだ。戦地からせっせとジョゼフィーヌに手紙を書いている姿。
ナポレオンが寝ている時に、ブルーチーズの匂いを嗅いで、”ジョゼフィーヌ、今宵はもう満足じゃ・・。”と言ったという艶っぽい小咄を思い出す。-
■今作のもう一つの魅力は、彼が名を挙げたトゥーロンの戦いや、ロシアとオーストリア軍とのアウステルリッツの戦いや、ワーテルローの戦いでの、迫力溢れるスペクタクル映像である。
現在、これだけの映像を撮れる監督が何人いるであろう。
流石、リドリー・スコット御大である。
・一度はロシア遠征で失敗し、その後も斜陽となって行くナポレオンがエルバ島に一度は流されるも、ほぼ単身フランスへ戻るシーン。
ー 彼の前に立ちふさがる銃を構える大隊の兵士たちに対し、怯まずに語りかけ、最後は大隊の兵士たちが”ナポレオン皇帝!”と叫び、彼を受け入れるシーンは沁みたなあ。-
・だが、”百日天下”の後、ワーテルローの戦いでの広大な平原での英国軍との一騎打ち、そして駆け付けたプロイセン軍に敗北し、ナポレオンはセントヘレナ島に幽閉されるのである。
<今作は、一人の野心触れるフランスを愛した男が、一人の女ジョゼフィーヌを終生愛しつつ、一気に皇帝にまで成り上がる姿、そして、その後徐々に勢いを失って行く姿を、数々の戦の迫力溢れるスペクタクル映像と、ジョゼフィーヌへの愛憎に苦悩する人間的な姿とを並行して描いた歴史大作なのである。>