「終わらない悪夢のその果てに。」ほかげ はるたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
終わらない悪夢のその果てに。
戦後間もない日本。焼け残った居酒屋で体を売る女、盗んで生きる戦争孤児、元教師の復員兵、何かを成し遂げようとする謎の男。戦争が終わったからといってすぐそこに未来や希望がある訳ではない。皆今日食べるものすらない。
戦争で心まで焼かれた人間の痛みや、恐怖や、執念が小さな炎に照らし出される。その禍々しさ。その残酷さにスクリーンに釘付けになった。あんなに幼い子供が1人で生きていかなくてはならない。きっと優しかった先生が痩せ衰え虚ろな目で朽ちてゆく。そして闇市の喧騒をつんざく破裂音に絶望を見る。
これで自分の戦争がやっと終わったと空に手を伸ばし呟く。それでもきっと悪夢からは逃れられない。そして何度でも繰り返される。
前半と後半の異なるエピソードを少年が繋ぐ構成が見事だった。4人の圧倒的な演技も必見。戦争の映画は絶対この世から失くしてはならない。どうか作り続けて下さい。
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