「思い出す」インシディアス 赤い扉 なつ F列さんの映画レビュー(感想・評価)
思い出す
視聴開始早々、あれ?展開がわからぬ…
いや、それはそう、最初に視聴してるの2010年じゃないのよ。
なんで仲良し家族がギスギスしてるの?あまりの己の記憶力の無さに悲しんだが、一応そのまま観る。
そして、1.2を再視聴し2回目の視聴。
2ではこんな忌まわしい記憶はいらないとカールに1年の記憶を消してもらうが、母ロレインの死が大きく波立たせジョシュとダルトンのそれがじわじわと不安と共に湧き出され、それと同時に蓋をしていた赤い扉が開いてくる。
1度目の視聴で、これは家に付いてる!ダルトンを狙ってるぞ!ジョシュが助けるぞ!実はジョシュについてるぞ!ジョシュが戦うぞ!と大団円で1と2で綺麗に完成させたと思っていたのでこれは蛇足では?と少々、強引さを感じた。
2度目の視聴で、記憶を中途半端に消してしまった事により嘘が重なり彼らの将来を大きく歪ませたのかと理解。
悪魔に魅入られてしまった一家は結局悪魔からは逃げられてなかったという別の恐怖の形で再度彼らを襲うのだ。
これは確かに怖い。
大変なことを乗り越えて絆が固くなるどころか離婚とか。
堂々とオロオロと吐きまくる霊や窓を蹴破ってくる様な大胆なやつも見ていてとても楽しいが、窓に写真を貼り神経衰弱をしてる時の真ん中をペラっとめくった時にあっ!窓の向こうに!→張り替え→そこにいたからそこをめくって!ドキドキ→もういないのか〜みたいにハイドアンドシーク的な演出がとても良い。
びっくりではなく張り詰めた霊描写。
ジョシュが頭を固定され、検査機の中に閉じ込められる描写は誰もが何らかの同じ様な検査をした時に一度は考えた恐怖の姿…
そして、1と2が繋がっている様に今作もランバート家の因果関係がしっかりある。幽体離脱という。
ジョシュの父がジョシュを守ったようにジョシュもダルトンを守る。
大学の授業内容が記憶や魂の奥深くを解放させるような内容で、もうそれ絶対思い出すやつ〜やめたげてと思う。
カウントやめて。
ほら、赤い扉描くじゃん。
一連の体験や記憶、弟の話から鮮明になっていくダルトンの記憶。涙を流し思いをぶつけたキャンバスには赤い扉とその前に立つハンマーを持った父の姿。
ルネにはハンマー振りかざし息子を殺しかけたからと秘密にしたと言われ、ジョシュは記憶を消した方がいいという自分の決意すら忘れもういろいろと大変。
彼方でのハンマーを振りかざす父を止め、悪魔に捕まるダルトン。彼を探しに行くジョシュ。手にはあの時の彼方では希望のようなライト。胸熱。
振り下ろされたハンマーはダルトンの鎖を切り逃す為のもの。叩かれる赤い扉の前に立ち塞がり息子を逃すジョシュ。
激しく叩かれ破れる赤い扉、そこに幕を下ろす様に赤い絵の具が流れていく。
やったぜダルトン!君は出来る子だと信じてた。
完成した作品はハンマーで殺しに来る父ではなく、幼い自分を救った愛すべき父の姿。
スペックスとタッカーは出てくるだけでウキウキするし、エリーズに関しては実家に帰ったような安心感を覚えてしまう。大好き。
最後にジョシュがエリーズに再開したのが彼方の中でなくて良かったな。
ランバート家インシディアスの作品で1番好きなシーンは1のルネがゴミ捨てに外に出た時にレコードの音が変わり例の妙に明るく不気味な悪魔のテーマソングみたいなものに切り替わり奥で黒い影が踊るシーン。ストーリーは忘れてもこのシーンだけはゾクっとして忘れられない。
ヒロインも不安定なダルトンを支えられるチャーミングで好奇心もハートも強いクリスちゃんで良かった。
恐怖に遭いながらもダルトンをしっかり抱く姿はやったねバッチリ好印象。
なんだかんだとインシディアスシリーズの主役はエリーズ。