「ピナの作品が観たくなった」ある日、ピナが… 悠さんの映画レビュー(感想・評価)
ピナの作品が観たくなった
今作が不完全であることは、監督自身が映画の冒頭に述べている。ピナの舞台に優れた長編映画のような充実があることはこの映画を観れば感じ取ることができる。一方でそういう充実感はこのドキュメンタリーからは直接感じ取ることができなかった。
しかし、本作はピナのための作品であるため、そのような充実感ははなから求められていない。ピナの舞台の断片からその全体を想起させることがアケルマンの狙いであり、それは果たされていた。
今作において徹底されていたのはピナの舞台の要素を抽象化して整理し、動きのイメージを並べてみせたこと。 アケルマンによって再編集されたピナの舞台はゴダールの『イメージの本』のような説明臭さすらあった。
動きの反復を繰り返すことによって、可笑しさや、恐ろしさを描く点で『ジャンヌ・ディエルマン』的なところがあるなと感じた。
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