劇場公開日 2024年8月2日

「怖いよ〜怖いよ〜」Chime わたろーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5怖いよ〜怖いよ〜

2024年8月13日
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「スパイの妻」の黒沢清も好きだけど、「CURE」の黒沢清も好きだなあ…ということを再認識させる1本。

決定的に何かが起こるのは包丁を使った2回くらいで、それ以外は確実に『何かが起こっているんだけど、何かを映さない』『音や構図や演者の顔だけで何か起こったことを示す』という恐ろしさ。心霊なの?宇宙人なの?いやもうただの不条理なの?っていうジャンルを横断してるとも言えるし、横断してるかも分からないけど、分からないから怖さが増す。知らん間に無機質の狂気が他の登場人物に連鎖してる感じも恐ろしい。決してベロベロバーに頼らない。

ラストカット、「いやそこに立ってると下手したら死ぬよ?」という絶妙な位置に立ってるシーンを何回か見せてからの家。この後何するの…怖いよ…。そこで切ることで見る側の生活と地続きになってる感じになる。事実帰り道に歩いていたところ、閉店したガソリンスタンドに電話がかかってきてて、もうその電話音が怖くて怖くて。関係ないんですけど。

料理教室って実は恐ろしいよねという気づき。見知らぬ人たちが正気を保っていることを前提に包丁使いまくったり、火を使いまくったり…。
淡々と講師が説明するのに、過剰に玉ねぎを切り裂き炒め物を焦がす登場人物。掴みから完璧。

「私理屈で説明してくれないと納得できないんです」的なセリフがあるんだけど、この映画のことを言い表してると思うので、もう一度見てみたい。

血しぶきの後に、自分の手から流れた少なめの血に対して絆創膏貼るシーンが一番印象的でした。

わたろー