「敗戦国の暗い戦後」ヒンターラント バラージさんの映画レビュー(感想・評価)
敗戦国の暗い戦後
ドイツのテレビドラマ『バビロン・ベルリン』主演のリヴ・リサ・フリースが助演で出てたから観た映画。てっきりドイツ映画かと思ってたらオーストリア・ルクセンブルク合作映画でした。
とにかく全編に渡って暗い映画で、国家や家族のために戦争に行ったのに敗戦によって悲惨かつ惨めな状況に落とされた人々の姿がこれでもかと描き出されている。もちろん映画の事件は最終的に解決するんだが、後の歴史を知る者にはそれでハッピーエンドにはなり得ないことももちろん知っているわけで、あるいはそのようなルサンチマンがオーストリアにおいてもファシズムの台頭となって現れ、やがてナチス・ドイツに併合されていくんだろうかと連想させられた。ドイツでも前記『バビロン・ベルリン』をはじめ、映画『さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について』など大戦間期を舞台としたドラマや映画が増えているらしいが、この映画はそのオーストリア版なのかもしれない。現在のヨーロッパも当のオーストリアをはじめ極右の台頭に揺れているが、過去のそのような時代を描くことによって現代への警鐘とする意図もあるんだろう。
全編ブルーバックで撮影されたとのことで、CGで作られた街の建物や室内の調度などが歪んだ非現実的な姿をしているが、このあたりは実際の第一次大戦後のドイツ表現主義映画『カリガリ博士』あたりにインスパイアされたのかもしれない。後のナチズムの台頭を予言した映画として有名で、そこにも象徴的な意味合いが込められていると思われる。そんな陰鬱な映画だが、なかなか面白かったのも確かで、主人公に協力する美しい検死医役のリヴ・リサ・フリースが一服の清涼剤でした。いい女優です。
