「ドイツ表現主義へのオマージュも」ヒンターラント しばいぬるりさんの映画レビュー(感想・評価)
ドイツ表現主義へのオマージュも
第一次世界大戦直後のウィーンでの帰還兵連続殺人を描いた歴史ミステリー。
よくできてる。オーストリア=ハンガリー帝国の崩壊後のウィーンの風景がブルーバック撮影で、そしてドイツ表現主義の傑作「カリガリ博士」を想起させる歪んだセット美術で描かれていて、当時の不安定で混乱した雰囲気を増幅させている。犯人を捜すために、元敏腕刑事で帝政国家に忠実だった帰還兵と社会主義者の若手刑事が協力し合う展開も面白い。
第二次大戦後にソ連に抑留された捕虜たちの話はいろいろあっても、第一次大戦後の彼らについての話を読むことはほとんどなかっただけに興味深かった。革命干渉戦争もあっただけに今まで映画にするには余りにも複雑すぎる状況だったのかしらん。
主人公はトルコ人の両親のもとにウィーンで生まれた俳優。時代は変わっている。
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