「子供たちの小さな世界で巻き起こる、とても静かな戦いの物語」イノセンツ よしてさんの映画レビュー(感想・評価)
子供たちの小さな世界で巻き起こる、とても静かな戦いの物語
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非常に味わい深い作品でした。
様々な問題を抱え、孤独に直面した子供たちが、知り合って、触れ合っていったと思ったら、ちょっとした行き違いから、対立が生まれ、彼らの持つ“イノセント”と目覚めた力から悲劇的な展開を迎えてしまうお話です。
決してビッグバジェットな作品ではないため、映像表現としては地味ですが、子役たちの演技に加えて、終始不穏さを醸し出す展開の連続で、行きつく暇はありません。大友克洋の童夢の影響を受けた、という話ですが、「団地」という多様性が押し込められた特有の舞台設定も、今の時代だからこそより意味のあるものになっていたと思います。
ただ、監督がどこまで意図したのかは不明ですが、結果的に被害に被るのが移民の家の子供たちであったり、心の病の下に隠れたピュアさゆえにより「強力な力」に目覚めるアナの設定など、“イノセント”じゃない感情に心がザワつきます。
それら含めて、かなりの傑作だと思います。
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