「Cruel」イノセンツ ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Cruel
サイキックスリラーとか久しぶりに観るなーと思い劇場へ。この手のジャンル、好きなんですがDVDスルーになる事が多いので、劇場で観れてよかったです。
子供の小さな残虐性が集まって超能力と化し、悲惨な出来事に繋がっていく…という感じの静かな作品で、思い描いていたビームがドカーン!みたいな作品ではありませんでしたが、ヒューマンホラー的な視点で楽しむことができました。
主人公イーダの姉のアナが自閉症という設定、失礼な発言にはなってしまうんですが、どうしても行動の一つ一つにイライラしてしまったんですが、これが物語が進むに連れて、感情表現ができるようになったり、自分の意思を伝えれるようになってから、アナの成長がはっきりと分かるような見せ方になっていて良かったです。
マイナスな点では無いんですが、ベンが猫を屋上から突き落として、まだ生きてることを確認したら首を踏みつけて殺すのはかなり心にずしっときました。本物では無いのは分かってるんですが、これまたリアルに見えるので、猫が好きな人は要注意です。人並みに猫が好きな自分でも相当なダメージを食らったので…。
ベンがシリアルキラーの兆候があるのも興味深くて、猫を殺すのもそうなんですが、会話に応答しなかったり、すぐにキレたり、能力を使って母親を痛ぶったりなど、とにかく異常性が前面的に出ているのは差別化としてとても良かったと思います。しかも反省の態度はしっかり見せるので、嫌いになる一歩手前なキャラなのも不思議です。
最強モードになって人は操るわ、物は浮かすわ、遠隔操作で殺しを行うわのエグい祭りの様でした。その能力ををコピーしたアナがねじ伏せたのも静かな衝撃がありました。
終わり方がサッパリした感じだったのは続編への布石なのか、それともネタが尽きてしまったのか、団地の子供たちに超能力が備わっているのか、もう少し壮大な終わり方にしてくれたらなーとは思っちゃいました。
子役の子達の演技が本当に素晴らしく、ベンを演じたサム・アシュラフくんの大人と子供の狭間の表情を見せる演技には度肝を抜かれました。
それぞれの親の育て方、それぞれの子供の判断、現代的なテーマをベースにしつつも、ダークな雰囲気は澱むことなく、最初から最後まで保っていてとても良かったです。思っていたのと違うので少し評価は低くなりましたが、ダークなものをお求めな方にはオススメできる作品になっています。
鑑賞日 8/3
鑑賞時間 14:35〜16:40
座席 F-14