「映像美は素晴らしいが、ストーリーが浅い」ザ・クリエイター 創造者 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
映像美は素晴らしいが、ストーリーが浅い
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まず、世界観のスケールにストーリーが見合っていない。
アメリカを中心としたAI反対派の西側諸国とAI支持派のニューアジアの対立、というスケールの大きい世界観なのに、ストーリーは主人公の元からいなくなった奥さん探しがメインだ。また、ニューアジアには高度AI設計者=クリエイターがいるという設定だが、そのような普通の人間を超越した存在なのに、ストーリーにはさほど関わってこない。世界観を考えれば、例えば軍上層部や政治家による会議や外交のシーンだとか、ニューアジアにおけるクリエイターの暗躍(映画中では寝たきりだったが)を描くとか、スケールの大きなストーリーにするべきだったと思う。そのため、世界観に期待をして観に行くと、ストーリーが世界観のスケールに見合っておらず残念な気持ちになる。
主人公と行動を共にすることになるAIの少年アルフィーは、主人公と最後死別することになる。2人は涙を流しながら別れるという、悲劇的な演出がされている。しかし、道中で絆が深まった様子があまり見られないため、観ていて全く感情移入できず白けた気持ちになる。
銃撃戦やラボ潜入シーンなど、部分的には面白いところもあるので、暇つぶし程度になる凡作だと感じた。
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