「「記憶の中にある大好きなSFアニメ」の最高の実写化」ザ・クリエイター 創造者 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
「記憶の中にある大好きなSFアニメ」の最高の実写化
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ギャレス・エドワーズが、大好きな映画『モンスターズ/地球外生命体』のゲリラ撮影スタイルに立ち返り、中二感あふれる青臭いSFを全力で撮った。既視感のある物語ではあるけれど、ギャレス自身が筋金入りのオタクであり、「記憶の中にある大好きなSFアニメ」を実写化するような気持ちで作ったんじゃないだろうか。
AIが自我を持つシンギュラリティ以降を描いた近未来SF、という体裁だが、この映画のAIたちは、わりと慌てた動きをすることからも、ほぼ人間と同じだと考えていい。ギャレスのインタビュー記事を読んでいたら「AIがまだ自我や感情を持ってないといいな。人類はAIを奴隷扱いしてるから」みたいなことを言っていて、ああ、これこそがギャレスという映画作家の本質ではないか、と思った。
つまり、イギリスの特権的な白人男性である事実はさておいて、どうしてもマイノリティである他者に感情移入してしまうような。それが人間のマイノリティだけでなく、『モンスターズ』の宇宙生物や本作のAIにも適用されてしまうような。
その意味では、科学的SFではまったくない。イメージとエモーションとノスタルジーを駆使して、とことん弱いものに肩入れしたい!という無邪気さは、「この話は主人公は黒人男性でも白人救世主と同じ構図ではないか」という批判にも繋がると思うのだが、それでもなお、やっぱりギャレスの無邪気な判官贔屓に好感を持たずにはいられないのである。
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