「「人間」ドラマにホロっ でもモヤモヤも」ザ・クリエイター 創造者 zuzuさんの映画レビュー(感想・評価)
「人間」ドラマにホロっ でもモヤモヤも
人間とAIの戦いがテーマ。
同じテーマの映画は過去色々ありましたが、この映画はAIの方が主人公で、悪役ではないのが面白いところです。AIは魂と心を持ち、人間同様愛し合う存在で、ついAIを応援してしまいます。
しかし、その「人間 vs AI 」の戦いが、この映画では、AIに核爆弾をLAに落とされてしまった「アメリカ」が、AIが普通に人と共生する「ニューアジア」に
AIクリエイター狩りにやってきてAIを虐殺(処分)していく、闘いの構図になっています。
「AI 」対「人間」というだけで、十分に重く、哲学的な示唆も含んでそうですが、この映画のフォーカスはそこではないです。
「ニューアジア」は、この映画の造語ですが、アジアの国々の連合のようです。アメリカもアジアも現存する国、地域なので、どうしても、現実に照らしてしまいます。
途中、アメリカ側の司令官の、違和感を感じる程オールドファッションなマッカーサー眼鏡をアップにしたのをみても、むしろ、「歴史をベースにした実際のアメリカ対(侵略された)アジアの国々」こそが、示唆したいこの映画テーマなのかと感じました。
世界の警察・アメリカ的正義の支配・侵略と、人間がAIに行うご都合主義の生産・利用と重なる、
と言いたいのか、、?
その解釈?が私はピンとこず、すっと話に入っていけなかったです。
(核爆弾投下、ですから、「何となく」はないでしょう)
実際の国名、地域名でなくてはいけなかったのでしょうか?かえって、余計な誤解を生むんじゃないでしょうか?
(LAで核爆弾投下された現場は、「グラウンド・ゼロ」と、また実存名。モヤモヤ)
村の映像、暮らしぶりなどからすると、ニューアジアは、ベトナム?インドネシア?フィリピン??そして時折日本語を話す渡辺謙から日本?等の連合なのでしょうか(他の言葉はわからず)
少ない歴史の知識と照らしたり、想像を巡らせますが、モヤモヤします。
実際のAI戦争では、アメリカ一頭支配、というより、アメリカと中国の二巨頭の戦いにシンガポールが追いかける印象。一国支配を懸念できるパワーは残念ながら今のアメリカにはないと思います。
トランプ氏再選か?と話題になる今、この映画のような強い、世界の警察たるアメリカ像は古いものになりました。
ここもピンとこない一因です。
(個人的には国や地域の固有名詞は使わない方がよかったと思います)
マヤ、ジョシュア、アルフィーの愛、人間ドラマこそこの映画のテーマで、時々ほろっとしました。
ノマドに乗り込んでのマヤ救出と脱出劇はハラハラして面白かったですが、
ちょくちょく都合よく辻褄合わせてる感が否めず、スリルにのめり込めませんでした。
アルフィーが、せんとちゃん(奈良県のゆるキャラ)に似てて可愛いのですが、「仏様って、もしかしてこんな顔してるのかなぁ」とぼんやり思ったりしました。
楽しめるところもあり、でもモヤモヤもあり、星三つとさせていただきます。