「Dream On」ザ・クリエイター 創造者 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Dream On
壮大なSFが観れるなーと新作多めの今週でもかなり期待していた1本でした。AIとのバトルはもうマストだなってくらい染み付いてるのはそれほど生活に浸透しているだなと改めて実感しました。
期待していたものとは少し遠く、ローグ・ワンの影響もしっかり作品に出ていてどこかスター・ウォーズ味があり既視感満載。映像のクオリティは最高でしたが、作品としての意外性はあまり感じられませんでした。
ストーリーが壮大そうで薄っぺらいのが惜しいなと思いました。世界観の設定を序盤中盤とササっと説明してくれるので、物語自体は飲み込みやすいんですが、主人公の動機が基本的に奥さんを取り戻す、奥さんへの愛というものばかりなので人間らしさを強めるには十分なんですが、そればっかりなので後半はもういいよとなってしまいました。
アメリカvsニャーアジアという構図でずっと進められるので、差別をしてきた時代を反映しながらの戦闘描写になりますが期待していたほど戦闘シーンが無いので、基本的に逃亡や爆発といった1シーン1シーンデカいものを挟んで閑話休題といった感じばかりなのも冗長に感じてしまいました。
AIを使う場面が色々とズレている気がしなくもないので、監視カメラでの捜索だったり警備の杜撰さだったりとそこにAI投入しないんだとムズムズさせられるシーンがいくつかありました。
監督ならではのAIとの共存を描きたかったと思うので、そのオリジナル性を否定してはダメだと思うんですが、やはりそこはどうも拭えず…。
終盤のミッションを成功させるために突き進む行動力の塊のような突撃っぷりには舌鼓を打ちましたが、自己犠牲で終わってしまうのはどうにも勿体無い気がしました。明るいラストだったのは意外でしたが、この手の作品の主人公の自己犠牲が多いのはなんででしょう。
アジアならではの風景や田園都市の様子、THE・近未来なビジュアルは本当に素晴らしかったです。頭の中で思い描いているものがここまで具現化できるって楽しいだろうなと少年心がくすぐられました。
ロボットの造形は好みなものが多く、マスコット的なロボットが好きなので自爆特攻してたのは可哀想でしたが、丸型ロボットがとても愛らしかったです。世界も世界なら愛されるデザインだったのになぁと思ってしまいました。
AIの後頭部が無く、コードなどで繋がれてる独特なデザインも世界観を強く主張していて良かったなと思いました。
時間帯の都合で吹替版(しっかり本職の方々なので安心)で観たので字幕版がどうかは定かではないんですが、ディズニー作品みたいな適当に翻訳して日本語に置き換えた看板だったり、エンドロールでのキャストをカタカナ表記にする際になぜか和テイストのテキストを用いていたりと余計な事をしていました。そういうのを嫌がる人は多いのになぜやってしまったのか、本当に分かりません。本作にとても失礼だなと思いました。
アルフィーを演じたマデリン・ユナ・ボイルズさんは今作で初めてお目にかかりましたが、無感情と感情をむき出しにするシーンの緩急がとてもお上手で、AIでも悲哀を感じるという表情には驚かされました。ここから様々な作品への出演が増えてくると思いますし、成長してからもどんな風になっていくのか楽しみな天才少女でした。
サクッと見る分には面白く、尺の長さもそこまで感じませんでした。SFにそこまでのめり込んでいるわけではないので、SFを追ってきた歴史によって見方とかが変わるのかなと思いました。
鑑賞日 10/20
鑑賞時間 9:40〜12:05
座席 O-13