劇場公開日 2023年12月1日

「スリラー/ミステリー/SFが高次元で融合」怪物の木こり 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0スリラー/ミステリー/SFが高次元で融合

2023年12月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

知的

俺好みの役者が出ているわけでもないが、予告編の不気味さにちょっとだけ惹かれて観賞。

【物語】
二宮彰(亀梨和也)は表の顔は優秀な弁護士。しかし、裏の顔は目的のためには医師杉谷(染谷将太)と共に全く人の命を省みない凶行に及ぶサイコパスだった。

あるとき、世間では絵本「怪物の木こり」に登場する怪物の仮面をかぶり、おので頭を割って脳を奪い去る連続猟奇殺人事件が発生。警視庁では重大事件として大捜査網を引く。プロファイラー・戸城嵐子(菜々緒)は犯人像をあぶり出そうと被害者の出自を含めてあらゆる情報を必死に収集していた。

そんなとき、二宮が「怪物の木こり」に襲われる。2人がと激しくもみ合っている間に別の人が通りかかったことで二宮は一命を取り留めるが、格闘している間に頭を強打し病院に搬送される。二宮は病院で目が覚めると、診断した医師から自分の知らなかったある事実を知らされる。

二宮と警察はそれぞれの思惑で「怪物の木こり」を突き止めようと彼を追う。また、戸城(菜々緒)は捜査の最中に出会った二宮にも言い知れぬ違和感を覚えていた。

【感想】
本作はサイコパス達が、好き勝手に暴れ回るスリラー&サスペンスであり、不気味かつ得体の知れない謎の‟木こりの怪物”の正体を突き止めるミステリーでもある。 さらにもう1つ、予告では知らされないSF要素があった。

この3つ(スリラー&ミステリー&SF)が結構バランス良く合わさっている。邦画ではこういうのは結構珍しい。 3つの要素を持つ作品は珍しくないかも知れないが、SF設定がちんけだったり、ミステリー的展開がお粗末だったり、大抵まともに揃わない。その点本作はどの要素もそこそこ高いレベルに行っていることに拍手を送りたい。

興行成績はともかく、作品的に成功しているのは監督、キャスティングがこの作品を制作するのにあたり適材適所だからだと思う。
三池崇史は俺的にはあまり好きな監督ではない。あまり文芸作品的な作品を撮らないし、感動した作品も記憶に無い。しかし、こういうちょっとおぞましい作品の雰囲気創出は得意だと思う。主演の亀梨もこのサイコパスにハマっていた。 脇を固める染谷将太、中村獅童、菜々緒も的確なキャスティングだ。中でも中村獅童の暴れっぷりは身震いするほど凄かった。中村獅童は気弱な男や、ニヒルな男もやれるし、今回のような社会の底辺を這っているような男も完璧にこなす。凄い役者だと改めて思った。

ということで、本作のMVPはプロデューサーと言っておきたい。

泣き虫オヤジ