「過激描写よりも心理描写を楽しむ作品」怪物の木こり かおさんの映画レビュー(感想・評価)
過激描写よりも心理描写を楽しむ作品
三池監督作品である事やサイコパスというワードと予告編から、過激な描写を期待して鑑賞する方も多いかと思います。
しかし、今作はサイコパスである人間が犯した罪そのものよりも、その半生や生き方に焦点が当てられた作品です。それ故、若干肩透かしを食らった気分にさせられる方もいるかもしれません。
個人的には原作読了済みという事もあり、違和感なく楽しめました。設定や結末は原作とは異なる点が多くありますが、映画としてのエンターテインメントに上手く昇華されていたと思います。
主演の亀梨さんの演技はとても良かったです。原作の二宮とは人物像が違う印象はありますが、そのビジュアルの良さがサイコパスを演じる上でとてもプラスになっていると感じました。特にラストシーンの美しさは素晴らしく、惹きつけられました。
染谷さん演じる杉谷も良かったです。サイコパスである彼の友情や執着というものについては原作でも考えさせられましたが、映画ではまた違うアプローチがなされている印象で、またあれこれと考えてしまいました。
私が涙脆いのもありますが、後半は登場人物達の心理描写や切なさ、やるせなさに泣かされました。過激な描写をメインに求める方でなく、登場人物の心理描写や人間ドラマを楽しみたい方におすすめします。
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