劇場公開日 2023年12月1日

「サイコパス弁護士 vs サイコパス脳泥棒」怪物の木こり bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5サイコパス弁護士 vs サイコパス脳泥棒

2023年12月2日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

絵本『怪物の木こり』に擬えたサイコ・スリラーとして、『このミステリーが凄い』大賞を受賞した原作はの映画化。原作も発売当時に既読。スプラッター・ホラーの要素も強く、不気味さと共にゾワゾワ感に包まれ、それを奇才とも言われる三池崇史監督が、どのように描くか楽しみにしていた作品。

次々と起こる衝撃的な猟奇的殺人事件、サイコパスがサイコパスの命を狙われるという斬新な設定、そのサイコパス殺人者に秘められた過去の真実、そして、26年前に15人以上の被害者が出た児童連続誘拐殺人事件と関りなど、様々な謎や事件が複雑に絡み合って、手に汗握る展開となっている。良心の呵責を感じ得ないサイコパス殺人鬼と、脳泥棒という猟奇的な殺人鬼との共通点が浮かび上がった時、殺人鬼達が背負わされた過去の悲しい事件との関わりが、明らかになる。

頭を斧で割られ、脳みそを奪い取るという脳泥棒連続殺人が起こる中、弁護士である二宮もまた、この殺人鬼に命を狙われて大怪我をする。実は、この二宮もまた他者への共感や愛情を感じることのできないサイコパス殺人者。同じく医師の杉谷と共に、殺人を繰り返していたが、自分が頭部にケガしたことで自分の頭に脳にチップが埋め込まれていることに気づく。それによって、他者への感情が生まれ始め、クライマックスは、二宮の婚約者の命を守るために脳泥棒と対峙するシーンへと繋がっていく。

本作の見所は、何より冷酷で無慈悲なサイコパスの怖さの描写。但し、サイコパスとなり得る精神医療的な分野での描写の詰めの甘さは少し感じたし、三池監督なら、原作に近いもう少し突っ込んだスプラッター・シーンも描けたのではないかと、少し肩透かしを感じた。

出演は、無慈悲なサイコパスが少しずつ感情を芽生えさせていく弁護士役を亀梨和也が演じていたが、彼の涼しい顔立ちには、こうした役は適役かもしれない。その他には、二宮を追う刑事に菜々緒二宮の婚約者に吉岡里帆が華を添えている。また、先日観たばかりの『首』でも重要な役どころを担っていた中村獅童が、今回も重要なキーパーソンを演じたいた。

bunmei21