劇場公開日 2023年12月1日

「原作にしかない良さ、映画にしかない良さ」怪物の木こり こけさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0原作にしかない良さ、映画にしかない良さ

2023年12月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

 今回の作品を鑑賞して、原作には原作の良さがあり、映画には映画の良さがあると感じた。

 原作を忠実に再現していると言うよりは原作を映画にする為に作成したもう一本別の作品という感じがした。小説を映画にする際に行われる足し算と引き算が上手に出来ていて、映画化する事でしか表現できない感情のニュアンスや、サスペンスらしい緊迫した場面の雰囲気など、小説を映画にした際に起こりがちな、「あの場面省くのか!」や「そんな場面要らないよ!」といったのが無く、原作を読んだ人にも別の楽しみ方をもたらしてくれる作品であった。三池監督らしい血を見せる際の背景は映える白を基調とし、わざとらしいぐらいに血を吹くシーンなど三池節も所々見受けられた。

 私個人としてはキャスト陣に少し物足りなさを感じた。主人公、二宮(亀梨)はサイコパス×弁護士という設定で年齢は30代という若きエリート。この役で亀梨君は映像映えはするものの、シリアスな雰囲気でサイコパスの振る舞いをする演技では顔が綺麗過ぎるので浮いてしまう印象があった。その親友である杉谷(染谷)は俳優として一流のはずなのだが、サイコパス感を出そうとしてセリフが凄く棒読みだなと感じた。
全体的にキャストの顔が美男、美女揃いなのでサイコスリラーな場面において絵面が綺麗すぎる印象を持った。私としてはもっとグロくて緊迫感が半端ない様な作品を想像していたので物足りなさを感じた。
小説と映画で自分が想像していた表現に乖離が生じるのは良くある事で、この違いも含めて、私個人としての物足りなさはあったが、全体的に満足度の高い作品になっていると思う。

こけ