「この復讐、自死の道連れでは?」復讐の記憶 かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
この復讐、自死の道連れでは?
フレディーにジェイソン、って、ホラーな二人に笑いました。
ふたりがホラー映画のファンでもそうじゃなくても年齢がだいぶ違っても、いいバディっぽいのは分かった。
韓国映画は意外性に満ちていて先が読めないのがすごい。
途中が強引でもありえない嘘っぽさがあっても、意外なラストで帳消しに思えたりする。
そもそも、「フレディ」が80歳を超えたじいさんに見えない。
ホンモノの80歳超を使ったらゆるゆるのアクションすら無理そうなのでそこは仕方ないか。
イ・ソンミンは内藤大助に似ていて憎めない風貌。
気のいい同僚の若者「ジェイソン」が、巻き込まれて犯人に間違われたりしないようにと願ってしまった。
自衛隊が記念パーティーを韓国でするとかあり得ないし日本人の日本語がたどたどしすぎる、女性の着物姿が変、とかツッコミどころ多々あり。韓国の人はこういうの見て、どう思うんだろうか。そして、犯罪になんであんなに派手な車使うんだろう?
肝心の復讐が、長年計画を練ってきたと言う割に出たとこ勝負でぐだぐだだだし、フレディがベトナム戦争上がりでプロフェッショナルな手際の良さとか期待したのにそれほどでもないし。
コリアンムービーにありがちな日本糾弾一直線かと思ったがちょっと違う。
ハン・ピルジュの憎しみは、旧支配者の日本人というより、日本にすり寄ってピルジュの家族を騙し陥れ、死に追いやり、甘い汁を吸い続けた「同胞」に向けられており、最後に残った究極に許せない標的が判明して驚愕、さすが韓国映画と思った。
バイト先のレストランを長年に渡って皆勤で新聞に載るとか、退役軍人の式典に皆勤とか、ピルジュの性格がチラ見えしてちょっと可笑しい。
それにしてもちゃっかり結婚して家庭を持って娘たちも嫁がせ妻も見送って、普通の人がすることを一通り経験し終えて自分は病気で先がない、責任を終え失うものが無くなってからさて、長年寝かせてきた「復讐」開始って、結構ちゃっかりしているんじゃないの、ハン・ピルジュ。
あ、だからそういう自分が最終的な標的なのか。
この復讐、自死の道連れでは、という気がしないでもない。
ラスト、フレディは本当にジェイソンを忘れてしまったのか、忘れたふりをしたのか
ジェイソンがお咎めなしだったようでよかった。