ペルリンプスと秘密の森のレビュー・感想・評価
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美しい色たちに囲まれる至福
アレ・アブレウ監督の作品でまず惹かれるのは、その色彩感覚。前作の『父を探して』でも発揮されていたその完成は、本作でさらに力強く発揮されている。この世界はまず、美しい色に囲まれている。その美しさの中でキャラクターたちはちっぽけな存在として、放り出されて、大冒険の旅に出る。
分断された世界に生まれた2匹のキャラクターたちが、イメージの世界ではつながり、仲間となれる希望、そして想像の世界の美。対して現実の理不尽さが重くのしかかり、対比的に描かれる。想像の世界を構築するのは現実逃避ではない、過酷な現実を生き抜くために必要なことだと本作を観ると思う。
テクノロジーと自然との関わりに翻弄されるキャラクターたちという物語設定は、スタジオジブリ的な主題だが、まちがいなく今日性の高いもの、今公開される意義の非常に高い作品と言える。
難しいテーマを扱っているようで、それは実は大変にシンプルなことで、シンプルに色彩の美しさに浸れる作品だ。この映像の美しさは世界の美しさを参考に作られているのだと素直に思える作品で、その感動が人に大切なことを気づかせてくれるはずだ。
戦争するな、ってこと?
太陽の王国と月の王国の秘密エージェントであるクラエとブルーオは、巨人に侵略されてる魔法の森に派遣された。魔法の森を守る方法は、ペルリンプスを見つけることだった。クラエとブルーオは対立していたが、巨人に対抗するという共通の目的のため手を組むことになった。ペルリンプスの手がかりを追う彼らは・・・さてどうなる、という話。
リスとネズミくらいかと思ってたら、オオカミとクマだったとは。
戦争するには電力が要るとか、ダム湖に森が沈んだとか、結局戦争反対、って事が言いたかったのかな?
戦争、紛争地域に思いを馳せる
時代にピタリとハマる良作でした。
様々な戦争、紛争地域に思いを馳せる内容で、対立する国の男2人の間にゆっくり築かれていく友情の物語。
派手で独特な色遣いで、少し目が痛くなったりしました。
何度も起きる些細な喧嘩・いざこざがしつこく感じたりもしましたが、2人の正体を知った後はなるほどとも思いました。
あと、音楽が素晴らしい。
身体をゆすって踊りたい衝動に駆られました。
Healing
異国の地のアニメーションってだけで劇場に観に行っちゃう人間なんですが、今作も例に漏れず。
好みの問題だなと思うところが多々あって、アニメのタッチもそこまで好きではありませんでしたし、ストーリーも序盤から何の話?と理解するのに時間がかかりました。
オチはなるほどなた思ったんですが、それでも直接的すぎる描写にはそこまでハマれず。
今作の困ったところは、音楽が良すぎるところです。とても聴き心地が良いですし、エンドロールでも盛り上げてくれます。
ただ劇中の音楽が優しすぎて眠りの世界に誘われます。ギリギリの状態で鑑賞しましたが、字幕のスピードがなかなか早かったのも難ありだなと思いました。こういう作品こそ吹替が作られて欲しかったです。
もう一回観ておきたいとは思いつつも、なんかまたウトウトしそうだなと思って観れない次第です。
鑑賞日 12/6
鑑賞時間 9:50〜11:15
座席 G-6
テクノロジーとの正しい付き合い方
自然環境を手付かずで保全するのは人類が存続する限りおそらく不可能なので共存の道を探るしかなく、例えば狩猟する人達に嫌がらせをしたところで解決する訳ではない。そして、「波」で表される決定的破壊から自然を守るためには今や技術の助けが必須だ。この技術との協調を示唆するのが、エコロジーとテクノロジーを象徴する2人が月の光の下であの下降旋律を唱和するシーンではないか?自然を愛すると共に技術を敵視しないで欲しい、というメッセージだと思う。
それにしても、失礼ながら普通の小学生がこれ観て理解できるのだろうか?
異国のアニメ
監督作品「父を探して」を見て非常に良かったので、観賞。今作はそれとは全く変わった作りで、なんかふつうに見やすく?仕立て上げられていた印象で、それがかえって軽い感じになっていて、かなりつまらないアニメーションになってしまっていた印象です。かといってわかりやすいかといえば、なんか意味不明な感じだったし・・・。
勝手に、相当期待しての観賞だっただけに、ちょっとガッカリ。
悪くはないんだけど、さ。
大人向けとするには少々例えが幼稚な気がするし、かといって子供向けというには比喩表現が多すぎる。
そもそもキャッチコピーの『ひとりぼっちじゃないって素敵なこと』はどこにそれを感じさせる部分があったのか……
音楽(というか音)と色遣いはよかった😊
ブラジル製アニメ。
めずらしーなー、と思って見てみた。争いと自然破壊と友情と。って思ってみたけどそうなのかどうか。絵も色もきれいなんだけど全編トーンが同じなのと優しい音楽と耳障りの良い歌に眠気が…平板すぎて残念?
分からず屋な者への子供達の反抗
敵対する国同士のエージェントが、巨人によって脅かされる魔法の森で出会い、森を守るとされる「ペルリンプス」を見つけるべく協力するが…という、ストーリーこそアドベンチャー要素が高いが、その裏には我々の現実世界で起こる緊張と摩擦、対立といったメタファーを見る事ができる。ネタバレになるような事は書かないが、あえて1つ言えば、「分からず屋な者達」への子供の反抗だ。
とにかく色彩表現が鮮やかでキレイな上に、終盤のスローモーションを使った演出に息を呑んだ。イキイキとしたキャラクターの動きも楽しいし、ラストに登場するあるキャラが可愛いこと可愛いこと。劇伴もどれも耳馴染みが良くて素晴らしく、サントラが欲しいぐらい。
ペルリンプスの正体が何かは観て確かめてほしい…と言いたいとこだが、観る人によっていかにようにも解釈ができよう。一応劇伴で暗示はされているが、あくまでもそれは暗示に過ぎず。でもそれもまた正解なのだ。
記者会見で監督が「友情」というフレーズをしきりに連呼していたのが印象的だった。
今年観た映画の中でもベスト級の1本。
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