劇場公開日 2023年10月20日

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「地形を駆使したアクション、人間ドラマ、複雑な勢力図に見応えあり」カンダハル 突破せよ 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5地形を駆使したアクション、人間ドラマ、複雑な勢力図に見応えあり

2023年10月27日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

この映画は冒頭でイラン核施設の爆破工作という只事では済まされない設定で緊迫感を醸成しつつ、そこからは一転して地道な逃走劇がスタート。アフガニスタンのカンダハルにある軍事基地まで、見渡す限りの荒野地帯を初老の通訳者とともにひたすら横断していくわけだが、そこでは冒頭の(安易とも言える)設定からは想像できないほど、様々な勢力が入り乱れ執拗に手を伸ばしてくる。敵味方を明確に区別することなんて不可能で、相手の出方を一つ読み間違えばそれは死に直結。このカオスな状態の中、フィジカルな死闘を繰り広げるのはジェラルド・バトラーの役目だが、一方、言い知れぬ悲しみを抱えた通訳者の、人間としての尊厳や譲れぬところは譲れないとする一本気な信念が物語に厚みをもたらす。砂漠に押し寄せる波のような軍事車両の動き、地形を駆使した攻防戦も他作品ではあまりお目にかかれない臨場感に富んだ仕上がり。予想以上に見応えある一作だった。

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牛津厚信