「赤いドラゴン」ニモーナ eigazukiさんの映画レビュー(感想・評価)
赤いドラゴン
この話はイギリス連合王国のひとつウェールズ王国の赤いドラゴンと白いドラゴンの伝説から着想を得ていると思われる。伝承によれば赤いドラゴンのブリトン人は白いドラゴンのサクソン人に勝つという言い伝えがある。赤い竜はこの作品のニモーナで主人公バリスターはブリトン人の騎士のことを指すものと思う。白いドラゴンのサクソン人はサクソン人が作ったイングランド王国を指していてこの作品では白い女王や白い騎士になっていると思う。伝承によれば赤いドラゴン(ニモーナ)は白いドラゴン(校長)に必ず勝つことになっている。映画の感想ではニモーナとグロレスの過去が悲しかった。二人は仲が良かったのに村の人々の迷信や思い込みのせいでニモーナは身を守らないといけなくなり争いが起きて結果グロレスの考えをも変えてしまった。ここのシーンで少女グロレスの姿を真似たのが現在のニモーナだとわかる。同じ顔で仲が良かったのにいまは喧嘩しているという設定は朝鮮半島やドンバス紛争やその他内戦などを遠回しに連想させていると思った。迷信や思い込みが争いを拡大させることがいかにおそろしいかがわかる。この映画の気になる部分は性的嗜好の要素は蛇足と感じたことだ。迷信やデマがテーマだから入れたのだと思うがそのシーンが強調され気になりすぎなので心が身構えてしまい最後までもやもやとした気分で物語を観ないといけなくなった。性的嗜好の要素を抑えてもストーリーの面白さに影響はないと思う。バリスターとアンブローシャスに貴賤の差がある友情だけでよかったのに余計に設定を入れている感じがする。私が多様性の要素を入れすぎてる感じがするほどアメリカは日本の何十倍も差別がすごいのかと想像して作品が楽しめないくらい悲しくなる。
結論:この映画にはいろいろなテーマが入っているが基本はウェールズの赤いドラゴン伝説である。
追記:
この作品をよく見返すと真のパートナーはニモーナであり表面上のパートナーがアンブローシャスであることに気がつく。バリスターとアンブローシャスの同性愛の関係はLGBTを強調しているというよりもむしろ表面上の「偽り」のパートナーの関係の表現として描かれていると思う。バリスターは保身上しかたなくアンブローシャスと付き合っていて本当の気持ちはニモーナにあると思う。というのも、アンブローシャスは白い竜のサクソン人(イングランド)を象徴しておりニモーナは赤い竜のブリトン人(ウェールズ)を象徴しているのでウェールズはイングランドに表面上は従っていはいるが本当の気持ちは祖国ウェールズにあるとこの作品は表現していると思う。真のパートナーは異性どうしであれ同性どうしであれ長く付き合っていく中でその相手は生きている人間であり年齢的にも精神的にも変化をしていくのが当然なので劇中のニモーナが変身するのは真のパートナーとしての比喩的な表現であると思う。ニモーナはモンスターで少女の姿をしているが人間というものは変化するものだという比喩的表現なのだと思う。よってこの作品の主人公の真のパートナーはニモーナであるといえると思う。
まとめ:バリスターにとって真のパートナーといえるのはニモーナである。