「今年ベスト級!とんでもない怪作!」キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン Duchampさんの映画レビュー(感想・評価)
今年ベスト級!とんでもない怪作!
スコセッシ監督、とんでもない映画を作ってくれた!!
3時間半があっという間に終わってしまった。。
エンドロールを見た後は頭がグラグラ、、、とんでもないもを観たという異常な興奮が冷めやらない。
あらすじ
戦間期のオクラホマ。先住民オセージ族が握る巨大な石油利権をめぐる白人入植者による連続殺人!
物語は、街の名手ウィリアム"キング"と、甥でアル中帰還兵のアーネストを中心に進む。
キングは資産目当てでアーネストに先住民モーリーとの結婚を持ち掛ける。
元々その気があったアーネストとモーリーはすぐに結婚。
子供も産まれ幸せな家庭が続くと思われたが、次第にキングの命令は過激化していく。。
※以下ネタバレ—————————————-
たった100年前が舞台だが、現代の倫理観など微塵も無い!
劇中に「インディアンの命は犬以下」というセリフがあるが、キング(白人)はただただ金目当てで淡々とモーリー家族の殺害を命令する、、
(モーリーに向けられる白人の視線。正にゴミを見る目。)
前半は割と穏やかに話が進むな映画なのかと思っていた、、
キングがアーネストにケツ叩きをするシーンからデニーロ+スコセッシの本領発揮だ!
デニーロがディカプリオのケツを!?映画ファンにはこれだけで特大のご褒美!
対するアーネスト。物語が進むにつれ、どんどん苦虫を噛み潰したような表情になる。
オツムも弱く叔父に逆らえない彼が、モーリーを愛しつつ殺人に手を染める様は、どうしようもなく情けなくヘタレ。
後半、いよいよモーリーの死期が近いことが何度も暗示される。。
そしてアーネストの決断から、ファミリーは崩壊したが、、
最後に特大の胸糞が来るので、カタルシスなど一切ない!!
エンドロールの後、頭がグラグラしなが映画館を後にした。。
兎に角3時間、半食い入るように見てしまった。
映画の事以外を全く考えないほど集中して、あっという間に終わってしまった。
特に後半は胸糞展開の連続なのだが、
この映画、何故こんなに目が離せなかったのか??
色々要因はあるだろうが、個人的には、やはりリリー=グラッドストンの演技と表情はとても大きいと思った。
モリーを見た時、ありきたりだが”モナリザ”という単語が浮かんだ!
美しいが何を考えているか掴めない表情が、聡明かつ魅力的でありつつ、彼女の立場や心情の複雑さを引き立てている。
観客がモリーをどう”観れる”かで、この映画の複雑さは全く変わってくる。
ただの哀れな先住民に見えたり、馬鹿な女に見えたら台無しだ。
この映画のクライマックスは、一族の最後の生き残りであるモリーが生きるか死ぬか!?の場面である。
白人から見れば彼女の価値は巨大な石油資産とイコールであり、それに見合うような女でなければならないのだ。
彼女が魅力的だからこそ、彼女を金としか思っていないキングの恐ろしさと、叔父と妻に板挟みになるアーネストの情けなさが際立つのだ。
スコセッシ監督の映画では、女房は添え物になりがちだが、今回の主役は事実上リリーと言っていいのではないだろうか。