「想像以上の体験でした」オオカミの家 白波さんの映画レビュー(感想・評価)
想像以上の体験でした
アリ・アスター絶賛との事で気になっていた作品。トレーラーからインパクトがすごかったです。
公開していざ観に行こうってなったら、劇場が極端に少ないんですね。
都内ではイメージフォーラムのみという、ものすごい壁の高さでした。
それは実在したカルト教団によるコミューン「コロニア・ディグニダ」をベースにした作品。
そしてその作品は想像以上の体験でした。
全編ストップモーションアニメなのですが、それがとんでもない。動く絵画のようでした。
パペットではなくクレイに近く、それは常に変化を続けているんです。
それだけでなくペイントも同居している、2Dと3Dが合わさった表現方法でした。
さらにカメラも固定ではなく動き続けている、一つの長回しでできていました。
これは見てもらうしかないのですが、それはとても強烈な世界でした。
腐敗と再生を繰り返すかのような身体と、ペイントが流れ血が滴っているような表情。
サウンドも含め全体のトーンは不穏。
怖くはないけど不安で、ずっと気味の悪い夢を見ているかのようでした。
ラストのセリフも“脱走者はどこまでも追跡され必ず連れ戻される”、そんなコロニアの恐ろしさが滲み出る一言でした。
そこに確かにあった恐ろしい出来事、それらを語り継いだおとぎ話のような作品でした。
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