「深川麻衣と井浦新、キャスティングの秀逸さ」人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0深川麻衣と井浦新、キャスティングの秀逸さ

2023年11月3日
Androidアプリから投稿

笑える

楽しい

乃木坂46を卒業して女優業を本格化させた西野七瀬、白石麻衣、齋藤飛鳥らと、現役メンバーで女優も兼ねる久保史緒里、山下美月、与田祐希らがアイドル然としたルックスを保ちつつ映画やドラマに出演する傾向が強かったのに比べ、同グループ卒業生の深川麻衣は華やかではないごく普通の女性として出演作に溶け込んできた気がする。今回の役、元アイドルだが社会人としてもろもろうまくいかず“詰んだ”と絶望する安希子の冴えなさっぷりを、深川が説得力十分に体現。原作者のSDN48元メンバー・大木亜希子の写真をインタビュー記事で見たが、大木以上に深川のほうが“詰んだ感”に合っていて、見事なキャスティングだと思う。

安希子が同居することになる一軒家のオーナー、ササポン役の井浦新も、中年ながら老境の悟りに達したかのような仙人っぽささえ漂わせる、癒し効果の高いキャラクターを的確に演じている。男性の色気を強烈に発する役や、危険な雰囲気をまとう役も得意としてきた俳優だが、本作のササポンは本当に安心感満点で、つつましくも含蓄のある示唆的な言葉も相まって、同居生活を通じて安希子が真っ当な心を取り戻していったんだなあと大いに納得できる。

他の共演者の中では、安希子の友人役の柳ゆり菜の愛らしさが特によかった。「純平、考え直せ」(2018)の頃はヒロイン役なども多かったが、最近は大きな役に恵まれていないのだろうか。今後のさらなる活躍を期待したい。

高森 郁哉
トミーさんのコメント
2023年11月4日

柳ゆり菜さん、吉岡里帆位イケると思ってたのに・・本格派志向が強すぎたのかも。今作の役どころに反映しているようでちょっと不遇?

トミー