「生きづらさを感じている人にこそ観てほしい」人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
生きづらさを感じている人にこそ観てほしい
さんざん流れていた予告に半ば洗脳され、深川麻衣さん観たさで鑑賞してきました。思ったほどの軽いノリではなかったですが、心温まる展開にほっこりしました。
ストーリーは、元アイドルで今は会社勤めをする安希子が、メンタルを病んで会社を辞め、風呂なしアパートの家賃さえ払えなくなった時、友人から56歳の男性との一軒家での同居生活を勧められ、恐る恐る始めた同居生活の中で、ササポンと呼ばれるおっさんとの交流を通して、自身の生き方を見つめ直していくというもの。過去の栄光が忘れられず、見栄とプライドで自分を武装し、崖っぷちに追い込まれても一発逆転を夢見る安希子が、自分を見つめ直し、前向きに人生の新たな一歩を踏み出す姿に心が温まります。
安希子の姿を通して、現代社会に生きる人、とりわけ若者たちが強く抱く過度な承認欲求やそこから生まれる息苦しさが、ひしひしと伝わってきます。しかし、それがあまり深刻になりすぎないように、安希子の毒舌と自虐的内言で語られることで絶妙なバランスをとっています。
そんな亜希子の冷えて固くなった心を、ササポンが優しく温めてときほぐしていきます。多くの人生経験を積み、本当に必要なものを見極めたからこそ言えるササポンの言葉が、心にじんわりと沁みてきます。ササポンの醸す雰囲気が、劇場内までも温かく包み込むようです。私もこんな包容力のある大人になりたいものです。
ラストで安希子はローファーに足を入れます。傷つき、それを隠してごまかしてきたハイヒールのような高いプライドは捨て、地に足のついた生き方を選んだ彼女を象徴しているかのようです。マーゴット・ロビーの「バービー」のラストを思い出させ、安希子の晴れやかな表情とあいまってちょっと印象的です。
主演は深川麻衣さんで、安希子を好演しています。「少しだけ呪われろ」のシーンは最高です。共演の井浦新さんは、本作の立役者で、誰もが一度は話してみたくなるような包容力でササポンを演じています。脇を固める、柳ゆり菜さん、松浦りょうさんも、いい味を出しています。
ローファー気付かず 不覚でした。でも 気づきの作品でした。井浦新さんが 神レベルでした。あっ❗️寝て😪ませんよ。爽やかでした。深川さんが敢えて 普通のやさぐれてる女性演じて好感でした。