「「成長」や「解放」の物語なのか?むしろ真反対のどんでん返しではないか?」哀れなるものたち Crazeさんの映画レビュー(感想・評価)
「成長」や「解放」の物語なのか?むしろ真反対のどんでん返しではないか?
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他者のレビューを見ていて、「女性が自分で道を切り開く物語」的なニュアンスの解釈が多くて、ちょっと違和感があった。
私も途中までは、幼いベラが自分の目で世界を見て自分の意思を獲得していく物語だと思って観ていたが、ラストの「ヤギ将軍」でその考えは全てひっくり返された。
「進歩のためなら倫理が見過ごされる」という強烈にズレた価値観が、ゴッドの父→ゴッド→ベラへと受け継がれてきたことを示すのが「ヤギ将軍」であり、それはつまり、自分の意思だとおもっていたものが幼い頃に"父"に植え付けられていた価値観であり、そこからは逃れられないことを暗示しているのだと受け取った。
どれだけ自分の頭で考えているつもりでも、狭い世界の中の価値観からは逃れられず、外から見るとそれは哀れに映る。それはきっと私自身もそうなのだろう。そういう意味で、全ての者が哀れな存在である、というメッセージを私は受け取った。
ここからは蛇足だが、どうあがいても哀れでしかないのなら胸を張って自分の好きなように生きて行こうと前向きな気持ちになれたので、この映画は私にとって「背中を押してくれる応援映画」となった。人生に悩んでる方は、是非。
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