「これはもう傑作としか言いようがありませんね」哀れなるものたち 小太り爺さんさんの映画レビュー(感想・評価)
これはもう傑作としか言いようがありませんね
少しばかりの不安を携えて観てまいりました。
結果は大満足、退屈する暇なぞ微塵もなく満喫いたしました。久方ぶりの傑作でございましたね。
言うなれば、『本当は残酷なおとぎ話』みたいなことでした。美しくてグロテスクで、温かくて冷酷な、哀しくもユーモラス、つまり、あらゆる要素を編み込みながら決して破綻することなく息を呑むような見事な織物を仕上げたようなことでした。
広角レンズを多用したりモノクロとカラーを使いこなす手練れは美術をも駆使し、その映像は飽きることがなく、いつまでも浸っていたくなります。
とりわけ、船旅での海のうねりと空の色彩は眼福の極みです。
俳優陣の力量もふくめ、総合芸術たる映画ならではの嬉しい体験でございました。
これだから映画はやめられませんね。
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