「一体、何を見せられているのか?」哀れなるものたち もういくつ寝ると…さんの映画レビュー(感想・評価)
一体、何を見せられているのか?
アカデミー賞のノミネート記事でこの映画を知ってほとんど予備知識なしに観てきました。
すべてが気持ち悪い。
広角レンズや覗き穴風を多用する画面。実験動物。登場人物は色んな意味で“狂人”ばかり。旅先の風景や客船も極端にデフォルメされ、どこか狂っている。
流れる音楽は、チューニングを狂わせた、不協和音の連続。
つまりは、スクリーンから得られる情報のすべてが、調和から外れた気持ちの悪い“狂った”ものばかり。
一体、何を見せられているのだろう?
二時間の間、終始、私の頭によぎる疑問。
観終わったあとは、脳内の迷宮に迷子になった気分。
一昔前ならカルト映画と呼ばれ、メジャーな賞に程遠く、一部の知ったかぶりの知識人モドキにのみ愛されるような映画である。
よって、点数をつけるのは遠慮したい。私にはこの映画の良さも悪さもわからないから。
と投稿してから他のレビューやヤフーの書き込みを読んで…
絶賛されている方のなかには(多分制作者や監督がそういうコメントをしているのだろう)“支配からの解放”とかベラの成長とかのコメントが多いのですが…私には、ベラの“成長の旅”って全てゴッドの予定通りだったのでは?と思えて仕方がない。
ダンカンの誘惑から始まり各地を周り最後にはゴッドの手元に、彼の理想通りの人間として戻って来る。この旅はゴッドの手のひら、あるいは広い屋敷の片隅にある(かもしれない)箱庭の中の出来事。そう思えて仕方がない。
最後の凛々しくも残酷なベラは、ベラなのか?ゴッドが理想とする創造物なのではないか?
だとしたら、支配の仕方が代わっただけで何も変わってないんじゃないか…
色々、あるぬことを考えてしまう。
私には向かない映画であることには変わりない…