「お金のかかったカリカチュア」哀れなるものたち きーろさんの映画レビュー(感想・評価)
お金のかかったカリカチュア
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男性が作ったルールや価値観を女性が壊して新しい道を切り開いていくっていうのがこの作品のテーマだと思うんだけど(実はディズニーのWishと全く同じ)、閉じ込めたり束縛したり罵ったり嫉妬したり割礼しようとしたりでここまでの世界の歴史が女性に対してやってきたことをおとぎ話みたいな映像とエマ・ストーンの演技で表現し切ってて素晴らしい!と言いたいとこだけど結局目線は男性だから性に奔放な女はけしからん!とか娼館で稼ぐ女は売女だ!みたいなトキシック・マスキュリニティがちらちら表に出てしまうのは、まだまだ世界が変わりゆく前ということなのかしらね?出てくる男たちすべてがわりと女の人のことを私物化しようとしてて(とはいえ三擦り半が爆笑ポイントなのは世界共通!)、かわいいおんなはトロフィーではないんだよなあ…などと考えさせられたり。とはいえ今年まだ1ヶ月も経ってないけどベスト候補のわけわからんすごい映画を見てしまったという印象になってるのは、文字通り世界を知ることでしっかり地に足をつけて歩き出し目に輝きが戻って話す言葉がロジカルになっていくエマ・ストーンの怪演のインパクトと美術と劇伴の凄さのバランスなんだと思った。一方で意味のない覗き穴のカットとか寄り引きが激しいズームとかぬるっとしたドリーとかは最近あまり見ないのでちょっとダルく感じてしまったかもしれない…。さて、アメリカも内戦に突入したことだし、このあたりから男が作る世界から大きく変わっていくのかな?
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