「Stay foolish」哀れなるものたち ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Stay foolish
アカデミー賞最有力候補という売り込みで日本に早めに来てくれたので鑑賞。でかいスクリーンで観れたのは良い収穫でした。
かなり人を選ぶ作品だなと思いました。面白いところと置いてけぼりにされるところがあり、トータルでは面白かったなぁって感じになりました。
入水自殺をした女性の脳と胎児の脳を入れ替えて、逆コナン君状態になってしまったベラの成長物語だなぁと最初は思っていましたが、成長を超える形成の物語になっていたのには驚かされました。
初っ端キメラ動物が出てきて、この手の動物が好きな自分としてはテンションが上がりました。犬鶏ってあんな不気味なんだ…。
刺激的な性描写ということで、結構激しめなプレイが多いのかなと思いましたが、刺激的っちゃ刺激的ですがなぜか笑えるものになっていたのが不思議でした。性行為を何も知らない状態でベラが全て体験していくので、超楽しそうにプレイをしていく様子が面白かったです。
傲慢な男性がよく出てきますが、それと対比して誠実な男性も出てくるので、そこのバランスがちょうど良く、男性の悪ばかり描く作品や製作陣たちへの皮肉だなぁとニヤッとしてしまいました。
偏見など何も知らずに育てられて、親の手を離れて真っ白な状態から色付けされて、それが綺麗な色でもあり、汚い色にもなる、そうやって自分の個性が生まれていくというありそうであまり観たことなかった0から1の成長して主体性を掴むという終わり方まで痺れさせられました。
脳内は赤ん坊、体は大人の女性という漫画的設定の難役をやり切ったエマ・ストーンは素晴らしすぎました。
不器用な歩き方やワガママな素振り、感情の制御が効かずに暴れ回る様子にゾクゾクさせられますし、初体験を脳が子供の状態で知るという前代未聞なシーンもこれでもかってくらい演じられていましたし、そこからアクセル全開で体験していく様子は爆笑もんでした。成長して脳が体に追いついてからの立ち振る舞いは前半に観ていた人と同じなのかってくらい演技が違うものだったので、度肝を抜かれました。
まだ公開されてない作品もあるので大きな声では言えませんが、今年のアカデミー賞の主演女優賞はエマ・ストーンに取ってほしいなと思いました。
マーク・ラファロは子供の脳のベラと成長したベラにとんでもないぐらい振り回されるこれまた難役をSEX交え見事にやり切っていました。この方の慌てふためく様子はキャラクターの傲慢さも相まって痛快でした。
服装のバリエーションの豊富さだったり、建物のレトロな雰囲気だったり、空の不思議な明るさだったりと、キャラクター以外にも色々と目に入るものが多かったので、そのシーンがあるたびにワクワクしていた自分がいました。
画面内の情報量は半端じゃなく、その世界観や美術に見惚れながら2時間半あっという間に過ぎ去っていきました。2回目観て考察を深めるというのも面白そうだなと思いました。
苦手かもなと思っていたところに、皮肉たっぷり独創性満載の作品に仕上がっていて面白かったです。監督の次回作にも期待したいです。
鑑賞日 1/27
鑑賞時間 12:40〜15:15
座席 R-35