「確かに10年に一度の傑作かも知れない?」哀れなるものたち カール@山口三さんの映画レビュー(感想・評価)
確かに10年に一度の傑作かも知れない?
世界最高峰の才能を集めて構築されたのは、
眩いほどの色彩を散りばめた壮麗かつ緻密な美術、
ユーモラスでありながら荘厳で情感あふれる音楽、
華麗かつ大胆さを極めた衣装、
度肝を抜くカメラワークを駆使した撮影。
さらに、
奇想天外でありながら映画史に残るカタルシスに満ちたエンディングへと導く脚本に支えられた。
そう、確かに10年に一度の傑作かも知れない!?
そんな素晴らしい作品だった。
本当に久し振りに良い映画だった。
でも、残念ながらラストはやり過ぎの気がする。
超えてはいけない科学と人間倫理の領域にこうして踏み外すのだという暗喩として見れなくはないが、
ヤギ将軍の姿は、
ちゃぶ台返しを観たような興醒めをしてしまった。
それはゴッドが亡くなってからの和やかな庭先のひとコマに過ぎないことのだろうか?
( ̄▽ ̄)
哀れなるものたち
「女王陛下のお気に入り」のヨルゴス・ランティモス監督とエマ・ストーンが再びタッグを組み、
スコットランドの作家アラスター・グレイの同名ゴシック小説を映画化。
2023年・第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で最高賞の金獅子賞を受賞し、
第96回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、脚色賞ほか計11部門にノミネートされた。
不幸な若い女性ベラは自ら命を絶つが、
風変わりな天才外科医ゴッドウィン・バクスターによって自らの胎児の脳を移植され、
奇跡的に蘇生する。
「世界を自分の目で見たい」という強い欲望にかられた彼女は、
放蕩者の弁護士ダンカンに誘われて大陸横断の旅に出る。
大人の体を持ちながら新生児の目線で世界を見つめるベラは時代の偏見から解放され、
平等や自由を知り、驚くべき成長を遂げていく。
プロデューサーも務めるストーンが純粋無垢で自由奔放な主人公ベラを熱演し、
天才外科医ゴッドウィンをウィレム・デフォー、
弁護士ダンカンをマーク・ラファロが演じる。
「女王陛下のお気に入り」「クルエラ」のトニー・マクナマラが脚本を担当。
哀れなるものたち
劇場公開日:2024年1月26日 142分