「自由を求める魂」哀れなるものたち　コージィ日本犬さんの映画レビュー（感想・評価）

ベラが既存の価値観へのNOを突きつける。
父権主義も、資本主義の非常さも、暴力も、ありとあらゆる理不尽に対して、無垢な眼差しで「これは認めない」という魂の自由。
男女や人種を超えた平等への強い欲求。
生きる術を学んで前に進もうとする強い意志。

セットや衣装、美術もすごいし、カメラワークも素晴らしかった。
閉じこめられている間はモノクロの世界。
冒険に出て世界に触れるとカラーになり。
納得できない事態に遭遇すると、ベラを取り巻く世界が「歪む」「暗くなる」「視界が狭くなる」のをレンズで表現。
決して奇をてらったわけでなく、ベラの心に合わせた描写を作っているだけなのがわかる、ストレートな作りでもありました。

素晴らしいと同時に、観る人間に心のあり方を問い詰める怖い作品だと思った。