「強烈な作家性に引き込まれる作品(R18+)」哀れなるものたち カツベン二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
強烈な作家性に引き込まれる作品(R18+)
鬼才ヨルゴス・ランティモスが独特で奇天烈な世界観を、躊躇ない性描写を交え綴ったゴシックファンタジー&ブラックコメディ。
脳が幼児で身体が大人だとまず性への興味から始まり、倫理観がない分リミッターがかからず暴走してしまうというのはなんとなく納得。
外の世界での見聞や人生観を大きく変える人物との出会いによって貧困、差別、ジェンダー、思想などを学び急速に成長していく過程が面白かった。
船上で出会った老婦人と黒人青年、娼館の女主人はリアルな「世の中」を彼女が知るきっかけを作ったキーパーソン達だが大変魅力で印象に残った。
主演(兼製作)のエマ・ストーンはこの難役をまさに体当たりで演じており、ある意味女優としての凄みの様なものを感じた。
冒険から戻り、自分の使命は何かという事を見つけた転換期を眉毛、歩き方、カラー映像で上手く表しているのも興味深い。
堅物のイメージが強いマーク・ラファロは観はじめた時にはこの役は似合わない気がしたが、徐々に違和感を無くしたのはさすが名優だと思った。
狂気の天才外科医を演じたウィレム・デフォーはこっちの期待を余裕で上回る怪優ぶりだった。
あの変なシャボン玉みたいなのは一体何?
非常に表現しづらいが、とにかくパワーや熱を強く感じる衝撃作。
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