「複雑な状況設定とその種明かしに追われベン・アフレックもドラマも埋没した残念作」ドミノ 徒然草枕さんの映画レビュー(感想・評価)
複雑な状況設定とその種明かしに追われベン・アフレックもドラマも埋没した残念作
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自分がどこの誰なのかわからない、この世界がどういうものかもわからないまま、次々に自分も世界も変わっていく――というパターンはSF作家フィリップ・K・ディックの得意パターンで、とくにシュワルツェネッガー『トータル・リコール』はその典型だった。
本作は完全にそのパターンを踏襲し、催眠術らしきもので操られた人々による犯罪が多発し、それを捜査する刑事の周囲の人々も操られ、やがて刑事本人も操られようとする時、突然世界がひっくり返って、実は刑事本人もその操る側であり、彼を取り巻く世界も人々も操るために偽装されたものだった――というもの。
今ではさほど驚くこともない設定と展開だが、前半は娘を誘拐された刑事の苦悩や、奇怪な事件の捜査がなかなか見せるが、後半になると謎解き解説の部分がやたら多くなって、ドラマ部分はどこかへ吹っ飛んでしまったかのような趣が残念である。
『トータル・リコール』の場合、同様な設定の中、シュワちゃんの大活躍による痛快アクションSFを堪能できたが、本作の場合、設定だけで手一杯で、ベン・アフレックもその中に埋もれてしまった。
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